2024年9月 | マタハラに関する規定 |
2024年8月 | 副業で2か所以上働いた場合の社会保険・雇用保険 |
2024年7月 | 求人票と異なる労働条件での採用 |
2024年6月 | 社会保険適用拡大50人超について |
2024年5月 | 時間外労働に関係する休日の振替問題 |
2024年4月 | 36協定を根拠とした残業命令の可否 |
2024年3月 | メンタルヘルス不調の従業員に関する個人情報の取扱い |
2024年2月 | リファラル採用 |
2023年12月 | 固定残業代を減額することの可否 |
2023年11月 | 懲戒に関する規程作成上の留意点 |
2023年10月 | 育休から復帰した職員に対する配転の適法性 |
2023年9月 | 従業員から労災手続を求められた場合の留意点 |
2023年8月 | 労働条件明示義務の追加にどう対応したらよいか |
2023年7月 | 適用拡大による短時間労働者の算定基礎届について |
2023年6月 | 辞職の意思表示 |
2023年4月 | 他の業務への配転 |
2023年3月 | 退職の意思表示と撤回 |
2023年2月 | 勤務地域を限定した正社員制度 業務効率化の第一歩は身近な問題解決から |
2023年1月 | 2023年4月より中小企業の60時間超の残業代引き上げ |
2022年12月 | 解雇に踏み切るまでの注意点 |
2022年10月 | 年5日取得させる義務が生じる有休日数に繰越分は含むか |
2022年9月 | 新型コロナウイルス関連の補償・助成金 |
2022年8月 | 改正前から傷病手当金を受けている者の支給期間の通算 |
2022年5月 | 社会保険の拡大についてよくある質問 育児休業給付金の延長と出産手当金の併給 |
2022年4月 | 産後パパ育休の創設と新育児休業 |
2022年2月 | 会社の備品を勝手に持ち帰るとどうなるか |
2022年1月 | メンタル不調者への受診の勧め方と受診すべき診療科目 |
2021年12月 | 相談対応マニュアルは必要か |
2021年11月 | 脳・心臓疾患の労災認定基準が改正されました |
2021年10月 | 履歴書新様式と採用手続への影響 |
2021年9月 | 夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定基準が変わります |
Q 最近当社ではマタハラに関する申出や相談が多く、就業規則にマタハラに関する規定も設けたいと考えているのですが、どのような規定を置くことが考えられるでしょうか。
1.マタハラとは |
いわゆるマタハラ(マタニティハラスメント)には、主に、
①妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
②妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱い の2つがあり、
①には、妊娠、出産、育児休業等に関する制度または措置の利用に関する言動により就業環境が害されるもの(「制度等の利用への嫌がらせ型」)と、女性労働者が妊娠、出産したこと等に関する言動により就業環境が害されるもの(「状態への嫌がらせ型」)があります。
そして、事業主はマタハラについて、
①事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
②相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③職場における妊娠・出産等のハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応
④職場における妊娠・出産等のハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
⑤これらの措置と併せて講ずべき措置
を講じなければならないところ、指針では、その例として、就業規則等その他の服務規律等を定めた文書において方針や制度等が利用できる旨を規定すること等が挙げられています(マタハラ指針、育介指針)。
なお、措置に関連し、社員から、本人または配偶者が妊娠または出産した旨等の申出があった場合には、育児休業に関する制度等について周知するとともに、制度の取得意向を確認するための措置を実施しなければなりません。そのため、妊娠の申出があった場合には、制度を説明し意向を確認できるよう、事前に準備しておくことが大切です。
2.規定例 |
指針にも記載がある通り、まず就業規則の服務規律の規定にマタハラに関する規定を追加することが考えられます。
具体的な規定例としては、厚労省のパンフレットでも紹介されていますが、ハラスメントの内容や不利益取扱いを意識し、「職場において、妊娠、出産、育児休業等に関する言動により、部下や同僚の就業環境を害しないこと」、「職場において、部下の妊娠、出産、育児休業等に関して、解雇その他不利益な取扱いを示唆しないこと」といった内容が考えられます。また、服務規律の規定のほか、懲戒事由として規定しておくことも有効です。
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Q 現在、A社で週に20時間のパート勤務をしています。社会保険の被保険者が51人以上の会社なので、10月から社会保険に加入となるそうです。
もう少し長く働いて収入を増やしたいのですが、A社では労働時間を増やすことはできないようです。そこで、B社に面接し、週に20時間勤務で副業することとしました。
やはり、10月から社会保険に加入となるようです。その場合に次の点が気になりますので教えて下さい。
Q-①:A社、B社の両方の社会保険に入らないといけないでしょうか。
例えば、2024年10月からA社とB社それぞれで週に20時間ずつ勤務する場合、A社が51人以上、B社が50人以下の会社であれば、適用拡大の対象でないB社では社会保険の加入要件を満たさないため、A社でのみ社会保険に加入することとなります。
Q-②:そうすると健康保険証はそれぞれで発行されて2枚となりますか。
Q-③:社会保険料はどのように計算されますか。それぞれの会社で計算すればよいですか。
Q-④:雇用保険も両方の会社で入りますか。
まとめると、以下の通りとなります。
①社会保険の加入要件を満たしたすべての事業所で社会保険は加入となる。
②健康保険証は、選択した事業所のみで発行される。
③保険料は、加入した事業所の合算額で決まり、按分して支払う。
④雇用保険は、1つの事業所しか入れない。労災保険はいずれの会社も入っている。
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Q 求人票と異なる労働条件で採用したいと検討しています。何か留意すべきことはありますか。
1.職業安定法上の留意点 |
職業安定法上、当初明示した労働条件を変更する場合は、変更内容を明示しなければならないとされています。令和6年4月以降は、労働契約を締結する際の労働条件明示事項が追加されたのに併せ、職業安定法施行規則の改正により、募集時や職業紹介時にも①業務の変更の範囲、②就業場所の変更の範囲、③有期労働契約を更新する場合の基準 について明示が必要となりました。
2.労働契約の成否について |
労働契約の成否に関する裁判例では、求人票を見て求人募集に申し込んだ求職者が、採用面接終了後に求人票とは異なる労働条件(月給、賞与)が記載された採用内定通知書を交付され、その後交付された労働契約書にはさらに異なる労働条件が記載されていたため、月給欄を削除加筆して署名押印した労働契約書を提出したところ、求人企業から契約の申込みを撤回されたため、賃金等の仮払いを求めたという事案があります。
裁判所は、①求人票記載の労働条件での労働契約の成否、②採用内定通知書記載の労働条件での労働契約の成否について検討しています。①については、求職者からの申込みとそれに対する会社からの採用内定通知書による意思表示の内容は食い違っていることから、労働契約の成立を否定しました。②についても、会社からの採用内定通知書に対して求職者が承諾の意思表示をしたとは認めることができないとして、労働契約の成立を否定しました。東京高裁は、労働契約の締結に向けた交渉の過程で、賃金の額について合意できず、結局求職者が就労するに至らなかったのであって、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについての合意があったとは認められない旨の指摘をしています。
結論としては、労働契約の成立が否定され、求職者の請求も認められませんでしたが、このような紛争リスクがあることを認識しておくべきです。賃金等の重要な労働条件が曖昧なまま就労させることは避けるべきであり、そのような状態で就労を開始しようとされた場合は、拒否する必要があります。求人票に記載した内容と異なる労働条件を求職者に提案する場合、労働条件の変更が必要な理由を含めて丁寧に説明すべきです。
3.損害賠償請求について |
労働契約締結過程における信義則違反があったとして、損害賠償請求がなされるケースがあります。この損害賠償請求を認めた裁判例には、求人企業が一定の条件でしか採用できないことを伝えたのが求職者が前職を退職した後であったという事案や、求人広告等での説明と異なる労働条件であることを求職者が知ったのが入社後1年余を経た後であったという事案などがあります。これらのような段階に至って求人票と異なる労働条件を伝えると損害賠償請求のリスクが高まりますので、注意が必要です。
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令和4年10月に社会保険の適用拡大が行われ、従業員数100人超の会社で働く短時間労働者が社会保険の加入対象となりましたが、令和6年10月から、さらなる適用拡大が行われ、従業員数50人超の会社で働く短時間労働者は、社会保険の加入対象となります。今回は、Q&A形式で、適用拡大についてご説明します。
Q 今年10月からさらなる社会保険の適用拡大が行われ、従業員数50人超で働く短時間労働者は、社会保険の加入対象となると聞きました。現在、わが社は、社会保険加入者33人、パートタイマー(週20時間以上)57人で従業員数90人ですが、加入対象でしょうか。
Q 当社は現在、被保険者が48人、パートタイマーが3人います。4月から被保険者となる新入社員が3人入社し、被保険者は51人となります。退職しなければ、51人なので10月1日から対象となり、パートタイマーは、社会保険に加入しないといけないでしょうか。
※対象となったパートタイマー等の被保険者は「短時間労働者」とされ、今までの「一般被保険者」と区分されます。算定基礎届・月額変更届の支払基礎日数が一般被保険者は「17日」、短時間労働者は「11日」などの違いがあります。契約の変更により、「短時間労働者」から「一般被保険者」など区分が変わった場合は、被保険者区分変更届を提出する必要があります。
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Q 土日を休日とする完全週休二日制の会社です。土曜日(法定外休日)に出勤する従業員がおり、 その場合は従業員の希望を踏まえて休日の振替日を決めることにしています。しかし、督促しても希望を出さない従業員があり、振替分の休日数がたまる状況であり、どう対応すべきでしょうか。
1.振替休日と代休の違い |
振替休日と代休の混同は多くの会社でみられます。休日の振替とは、あらかじめ休日と定められていた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることをいいます。あらかじめ休日と定められていた日は労働日となるため、この日の労働は休日労働にはなりません。一方、代休とは、休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものです。前もって休日を振り替えていないため、実態として休日に労働したことになります。今回の場合は、あらかじめ振替日を特定していないため、振替休日ではなく代休として処理することになります。
2.所定休日と法定休日 |
労働基準法35条では「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。」と定められていますが、この休日は法定休日を意味します。この会社の場合、週の所定休日は2日 であり、その内訳は法定休日(日曜日)が1日、法定外休日(土曜日)が1日となります。今回のように法定外休日である土曜日に出勤した場合は、労基法上の休日労働ではなく、時間外労働となる点にご注意ください。なお、今回の場合は、週1日の法定休日が確保されているため、休日規制との関係で問題はありません。
3.代休取得の有効期限 |
今回の土曜日のような法定外休日労働の場合、振替休日、代休のいずれであっても注意すべきは週の労働時間です。同一週で休日の振替または代休の取得がなければ、1日の所定労働時間を8時間とすると、8時間×6日=48時間労働となり、8時間分が時間外労働となります。代休の有効期限に明確な法規制はありません。しかし、代休を取得しないまま1年以上過ぎ、年次有給休暇の取得との関係でどちらを優先すべきかといった想定外の状況に苦慮する会社の例も聞いたことがあります。現在は時間外労働の上限規制もあり、代休の未消化を放置するのは労働時間管理上も適切とはいえません。そのため、代休の取得は1ヶ月以内とするなどルールを決めておくことをお勧めします。
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Q 正社員は残業あり、パートは残業なしとして雇用していたのですが、正社員の離職が相次ぎ採用もなかなかできず、業務を回すためにパートに残業をお願いしようと思っています。36協定は締結しており、労働基準監督署にも届け出ているため、残業をお願い したのですが、パートの数人から残業を拒否されました。どのようにすればよいのでしょうか。
1.36協定の効力 |
労基法32条は、法定労働時間について1週40時間、1日8時間を限度とすることを原則として定め、違反した場合には罰則まであります。そこで、使用者は、同法36条に基づく労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出ることで、使用者は協定の定める時間まで、法規制の時間以上の時間外労働・休日労働をさせることができます。例えば、原則の労働時間制の場合、36協定の締結・届出がなければ、たとえ1分を超えただけでも(1日に8時間1分の実労働をさせてしまっても)労基法32条違反になります。つまり、36協定には32条の規制を協定の定める時間まで免除させる効果(免罰効果)が認められている、言い換えると、36協定の効力は免除の効果が認められているに過ぎないということです。
2.残業命令の根拠は就業規則と雇用契約 |
36協定を根拠として、使用者は従業員に残業を命ずることはできません。この点について、行政通達は「労働基準法上の労使協定の効力は、その協定の定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという免罰効果をもつものであり、労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要なものであること。」と解釈を示しています。
パートとの雇用契約が「残業なし」なのであれば、パートに残業を命ずることはできず、雇用契約を結び直す必要があります。その際、労働契約法12条の「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は就業規則で定める基準による。」という規定もあるため、パートに適用する就業規則についても残業がある旨の規定に変更する必要があります。
3.所定外労働と時間外労働 |
一般的に「残業」と言われるものには、法定内時間外労働(所定外労働)と法定外時間外労働(時間外労働)の2つがあります。今回パートに残業をさせたいということですが、多くのパートは所定労働時間が1日6時間以内でしょう。その場合、1日2時間以内の残業であれば、所定外労働ではありますが、原則の法定労働時間である8時間を超えないため、時間外労働にはなりません。時間外労働が無ければ36協定の対象に加える必要はなく、雇用契約においては所定外労働あり・時間外労働なしという内容になります。
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Q 最近、欠勤・遅刻が頻発するなどメンタルヘルス不調が疑われる一人暮らしの従業員がいるのですが、受診を促してもこれに従いません。実家の両親に状況を伝えて、受診や看護を依頼することができるでしょうか。もし個人情報管理規程に、「従業員は、家族に健康状態を伝えることに同意する」旨の定めがあった場合は、本人の同意があると考えてよいでしょうか。
1.個人情報保護法上の例外規定への該当性 |
従業員の健康情報を両親に伝えることは、個人情報(データ)の第三者提供に当たりますので、原則として従業員本人の同意が必要です(個人情報保護法27条1項)。ただ、本件では受診を促しても従わないという状況で、従業員が同意しないことが予想されるため、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」という例外規定に該当するかが問題となります。
この該当例として「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」で示されているのは、緊急時で本人が意思表示するのが困難な場合です。また、健康情報は本人のプライバシー情報でもあり、その第三者への開示には、開示の必要性や本人の不利益の程度等を考慮して正当な理由が認められることが必要です。
以上からすれば、上記規定に該当するのは、速やかに受診し、治療等適切な措置を講じる必要性があると考えられるほど健康状態が悪化していることが客観的に認められる場合と考えるべきです。そのような場合であれば、正当な理由もありプライバシー侵害にもならないでしょう。本件でも、従業員が上記の状態であれば、本人の同意なくして両親に健康状態を伝えることができるものと考えられます。
2.規程と本人の同意 |
では、個人情報管理規程に「従業員は、家族に健康状態を伝えることに同意する」旨の定めがあった場合は、前記1の原則としての本人の同意があるとして、両親に健康状態を伝えることができるでしょうか。
この点、合理的な就業規則は労働契約の内容となることからすれば、上記規定をもって本人の同意とみなし得るとの考え方もあります。もっとも、健康状態は機微情報であり、「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」も、「本人が口頭、書面等により当該個人情報の取扱いについて承諾する意思表示を行うことが望ましい」と述べていたところです。
以上のことに、「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」が、「包括的に同意を得ておくことも可能」と述べていることを併せ考えれば、従業員から、あらかじめ(例えば入社時に)包括的な同意書面を得ていれば、前記1の原則に基づいて両親に伝えることができるものと解されます。
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Q 当社では多様な人材の採用を進めていますが、その中で、ミスマッチのない採用を進めるため、いわゆるリファラル採用の導入を検討しています。どのような点に気をつければよいでしょうか。
1.報酬の供与の禁止 |
リファラル採用とは、自社の従業員(や社外の取引先)など、社内外の信頼できる人から、自社に見合った人材を紹介してもらう採用手法を指しますが、法律上の分類では、文書募集以外の方法で、自ら又はその被用者をして行う直接募集に該当します。そして、直接募集は、特段許可を得たり届出等を行ったりする必要はありませんが、被用者をして募集を行うに際して、「賃金、給与、その他これらに準ずるものを支払う場合」を除き、「報酬を与えてはならない」とされています。(職安法40条)
したがって、リファラル採用を導入するにあたって、職業安定法40条の規定に違反することのないように、使用者としては、賃金とは別に「報酬」を与えたと評価されないように注意する必要があります。
2.就業規則等への明示 |
リファラル採用の効率を高めるために、被紹介者が採用されるに至った場合等において、紹介者に対し、一定の対価を支払うことも珍しくありません。その場合には、紹介者に対する対価が、あくまでも「報酬」ではなく当該業務を行ったことに対する賃金等が支払われていると評価される必要があり、そのためには、リファラル採用が従業員の業務の一環であることを、就業規則等の規程において明確にしておく必要があります。具体的には、「従業員は、会社に対して適切な人物を紹介することによって、会社の採用活動等に協力することがある」といった規定の準備が考えられます。
また、人材を紹介すること(業務)と対価の対応関係、対価の支給条件(支給金額や支給時期、具体的にどのような場合に支給されるか等)を就業規則等で明確にしておくことも重要です。そして、リファラル採用について支給された「対価」が「賃金」として支払われていることを明確にするという観点から、給与明細に明示しておく、公租公課に対する対応についても通常の賃金と同様の取扱いを行うといった対応が重要です。対価の金額について明確な基準はありませんが、通常の賃金とのバランスを失するような対応を避ける、安易な紹介やトラブルを防ぐという観点から、あまり高額にならないように注意するべきです。就業規則において各種規定を設定するにあたっては、会社としてリファラル制度を導入すること、その目的やルール等について、従業員に対して予め周知し、浸透を図っておき、その協力を得られるような運用を行うことが重要です。
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Q 20時間分の残業代を「固定残業代」として支給していますが、残業が減ってきたので固定残業代を減額したいです。どうすればよいでしょうか。
1.固定残業代の減額 |
「以前よりも残業時間が減少し、固定残業代を減額したい」という場合、これまで従業員が受領できていた固定残業代の金額が減少することになり、不利益変更に当たるのではないかという問題があります。
2.裁判例 |
インテリム事件(第一審:東京地判令3.11.9、控訴審:東京高判令4.6.29)は、以下のように固定残業代が減額された事案で、減額の有効性が問題となりました。
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第一審判決は、割増賃金の支払いについては、労働基準法37条その他関係規程により定められた方法により算定された金額を下回らない限り、これをどのような方法で支払おうとも自由であるとして、固定残業代の廃止や減額に労働者の同意は不要としました。これに対して、控訴審は第一審判決を覆し、本件の年俸制の合意の内容はみなし手当も含めるものであった以上、みなし手当の減額は賃金規程の定めに基づいて初めて可能であり、時間外労働等に従事していた時間がみなし手当で定められている時間より実際には少ないなどの理由から会社側が自由に減額することはできないとして、減額は違法無効としました。
3.実務上の留意点 |
前記のインテリム事件はみなし手当も年俸額の一部という前提での判断ですので、これとは異なり、通常の月給制で残業代であることが明確な固定残業代であれば、その削減も合法と判断される(第一審判決と同様の判断となる)余地はあります。
もっとも、実務的に紛争化リスクを避けるためには、まずは規程上、固定残業代を減額できる定めを入れることを先行するべきでしょう。例えば、賃金規程に「固定残業手当の金額は、年度ごとに、前年度の所属事業場の全従業員の時間外労働の実績に応じて見直す。」あるいは「固定残業手当の金額は、年度ごとに、前年度の各人の時間外労働の実績に応じて見直す。」などの定めを入れます。その後、実際の残業時間が減少しているという実態を説明しながら固定残業代を減額していくことを説明し、他の労働条件で改善できる点があれば改善することを提案したりしながら、可能な限り多くの従業員の同意を得て減額するという方法が王道です。
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Q 当社において、懲戒規程の見直しを図っているのですが、実務上懲戒処分を検討する際に生じる問題点を踏まえると、どのような点に留意して規程を設けるべきでしょうか。
1.懲戒と就業規則 |
懲戒処分については、判例上、「あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とされています。これらの定めを欠く場合、懲戒処分は無効となります。また、労基法上、「制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を就業規則に定めることが求められています。
2.懲戒処分の種類(内容) |
就業規則に定めのない種類(内容)の懲戒処分は、科すことができません。事案に即した適切な懲戒処分を科すという観点からすると、懲戒処分の種類(内容)は、幅広く記載するべきです。複数段階の降格を定めたり、併科する旨を定めることも考えられるところです。当然ですが、処分の内容は正確に記すことが重要です。例えば、降格の内容として役職を下げるので十分なのか、職位・資格・等級を下げる必要はないのか等は、会社の制度に従い正確に定めることが必要です。なお、懲戒解雇につき“解雇予告除外認定を受けて即時解雇する”旨の定めを目にすることがありますが、当該認定を経ずにする懲戒解雇は無効とされるリスクがありますので、解雇予告除外認定を経ずとも懲戒解雇できると明確にわかるよう定めるべきです。
3.懲戒事由 |
前述の通り、定めのない事由により懲戒処分を科すことはできないため、懲戒事由は網羅的に記載するべきです。しかし、実際の懲戒対象事実は、必ずしも規定時に想定していた懲戒事由の範囲に収まるとは限りません。そのため、必ず包括事由(例:その他前各号に準ずる行為があったとき)を定めるようにしてください。
4.労基署との交渉等 |
懲戒処分が有効とされるためには、客観的合理性および社会的相当性が認められる必要がありますが、社会的相当性判断の一要素として手続きの適正が考慮されます。手続きとして懲戒委員会の開催を定めた場合、懲戒委員会を経ない懲戒処分は無効とされる可能性が高いです。しかし、懲戒委員会の開催には手間や時間を要することもあり、懲戒処分を科す前に対象者が退職してしまうとの事態も生じ得ます。これを防ぐため、懲戒規程上の手続きは本人に弁明の機会を付与することを定めるにとどめたり、懲戒委員会の開催は任意的である旨を定めたりすることを検討してもよいでしょう。
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Q チームリーダーを務めていた職員が、産休・育休に入り、来月から復帰予定です。
現在、チームリーダーは空いているポストがありません。また、1年以上のブランクがある職員が育児を抱えながら部下をまとめる職務を担うのは難しいと思われます。
そこで、現職の基本給は維持しつつ、部下なしの簡易な職務への配転を考えていますが、問題ありますか。
1.不利益取扱いの禁止と原職復帰への配慮 |
育児・介護休業法は、使用者は、労働者が育児休業を取得したことを理由に不利益な取扱いをしてはならないと定めています。この規定は強行法規で、違反する不利益取扱いは無効となります。また、育休する労働者の配置に関して、育休の申出や育休後の就業が円滑に行われるよう必要な措置を講じる努力義務を使用者に課しており、育休後は「原則として原職又は原職相当職に復帰させるよう配慮する」必要があるとしています。
2.配転の「不利益取扱い」該当性 |
上記を踏まえ、今回の配転は不利益取扱いに該当しないか、人事権の濫用で違法・無効と評価されないかが問題となります。原職のポストが空いていない場合、復帰時の就業条件(時短勤務等)、復帰後の就業状況(欠勤が多い等)によっては、原職ポストの職責を十分に果たせないと評価せざるを得ない場面もあります。
他方で、育休復帰後の配転は職員が被る不利益への配慮が特に必要とされ、業務上必要な程度とのバランスが求められます。そこで、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル事件(令和5年4月27日東京高裁)は、育休復帰後の配転に際して配慮すべき職員の不利益が、賃金(特に基本給)の面のみならず、キャリア形成の面まで及ぶことを示したものとして注目されています。同判決は、①復帰後、新規に生じたチームリーダーのポストに控訴人を就けなかったことなどは人事権の範囲内とする一方、②新設部門の部下を持たない
職位に配転し、電話営業などを担当させたことは、職務の質が原職と比較して著しく低下しており、控訴人のキャリア形成を損なうもので、業務上の必要性も高かったとはいえないとして、違法と判断しています。
今回の件も、チームリーダーのポストに空きがないため、同ポストに戻せないこと自体はやむを得ないと認められる余地がありますが、部下なしの簡易な職務への配転については、職員のキャリアを損ねる内容でないか、不利益を許容させるほど業務上必要なことかどうか、改めて確認することをおすすめします。
3.復帰前にコミュニケーションを |
育休復帰後の働き方は、家庭の協力体制や地域の保育所の事情、本人の意欲によっても様々です。事業主が「育児を抱えながらこの仕事は難しいだろう」と一方的に判断してしまうと、紛争の種を生みかねません。復帰後どこまで業務にコミットできるのか、どのようなキャリア形成や働き方を望むのか、十分にコミュニケーションをとった上で復帰後の職務を選定することが適切であり、配転の適法性を高める要素になります。
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Q 従業員から「パワハラを受けてうつ病になったので労災手続をして下さい」と要求されました。どう対応するべきでしょうか。
1.考え方 |
労災であることが明らかであれば申請に協力せざるを得ませんが、労災であることを争う余地がある場合は労基署に対しては労災ではないとして交渉しつつ、本人に対しては私傷病として対応することが鉄則です。
労災認定されれば、従業員から会社に対して安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求をされやすくなります。労災認定と安全配慮義務違反とは全く別のものですが、労災認定がなされれば事実上、裁判でも安全配慮義務違反と判断されやすいという傾向は否めません。ゆえに不当な労災認定を阻止する必要があります。
2.労災認定される可能性の有無 |
うつ病などの精神疾患が労災の要件を満たしているかを精査するには、会社で事実関係を調査し、それを厚生労働省が定めた「心理的負荷による精神障害の認定基準」に当てはめて検証する必要があります。例えば、人格や人間性を否定するような業務上の必要のない暴言があったか、必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の従業員の面前における大声での威圧的な叱責があったか等、生の事実関係を調査することが重要です。
なお、出来事が発生した前や後に恒常的な長時間労働(週40時間を超える労働時間が月100時間程度)があると、労災が認定されやすくなりますので、発病前の時間外労働時間を調査することも必要です。
3.会社自ら検証することの重要性 |
労基署による労災の事実認定については、会社が正面から反論する機会がないため、従業員の言い分だけを重視した偏頗な認定がされることがあります。精神疾患の事例ではありませんが、腰痛が業務上の災害か否かなどが争われた事案で、労基署は従業員が主張する作業態様を前提に労災認定しましたが、裁判では当該作業態様は物理的に不可能だとして、労災認定は誤った事実を前提としたものとされています。
4.労基署との交渉等 |
よって、会社は、労基署の調査を受け身で待つのではなく、自ら積極的に調査して、労災ではないという証拠を集めて労基署に提出し、労基署と交渉する必要があります。
上司からの暴言を受けてうつ病になったと従業員が主張しており、それが不正確な主張なのであれば、例えば、その場面を目撃した、あるいはその前後の状況を知り得る従業員等から徹底した事情聴取を行い、実際の事実関係を陳述書等にまとめて、それを労基署に提出して交渉することが必要となります。
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Q 令和6年度から、会社が労働者に対して行う労働条件の明示義務が強化されると聞きましたが、具体的にどのように強化されるのでしょうか。また、募集時と採用時の労働条件については、引き続き異なっても仕方ないという解釈でよいでしょうか。
規則等改正による明示事項の追加 |
令和6年4月1日から労働条件明示事項の規律が変更となり、まず全ての労働契約の締結時、及び有期労働契約の更新時ごとに、「雇入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、「変更の範囲」についても明示が必要となります。「変更の範囲」とは、将来の配置転換等によって変わり得る就業場所・業務の範囲を意味します。
また、雇止め告示の改正により有期契約労働者に対し、以下の明示が必要となります。
①更新上限の有無と内容
有期労働契約の締結時、及び契約更新時ごとに明示が必要となります。最初の契約後に更新上限を新たに設ける場合や、更新上限の期間を短縮する場合は、その理由をあらかじめ説明することが必要となります。
②無期転換申込機会
無期転換申込権が発生する更新の都度、明示する必要があります。なお、初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も有期労働契約を更新する場合は、更新の都度、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示が必要です。
③無期転換後の労働条件
無期転換申込権が発生する更新の都度、明示が必要となります。その際、無期転換後の賃金等の労働条件を決定するに当たり、他の通常の労働者(正社員や無期雇用フルタイム労働者)とのバランスを考慮した事項(業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲等)について説明するよう努める旨規定されています。
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Q 昨年10月から、社会保険の適用拡大により、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所で、通常の労働者と比較して4分の3未満でも、週の所定労働時間が20時間以上ある短時間労働者が適用となりました。今回初めて、算定基礎届となりますが、違う点などありますでしょうか。
基本的には正社員等の定時決定の方法と同様ですが、標準報酬月額を算定する「支払基礎日数の取り扱い」が異なります。
1.正社員等 |
(1)4月、5月、6月の3ヶ月間のうち支払基礎日数が17日以上の月が1ヶ月以上ある場合
該当月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定します。
(2)4月、5月、6月の3ヶ月間のうち支払基礎日数がいずれも17日未満の場合
従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定します。
2.短時間労働者(所定労働時間通常の労働者と比較して4分の3以上) |
(1)4月、5月、6月の3ヶ月間のうち支払基礎日数が17日以上の月が1ヶ月以上ある場合
該当月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定します。
(2)4月、5月、6月の3ヶ月間のうち支払基礎日数がいずれも17日未満の場合
3ヶ月のうち支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定します。
(3)4月、5月、6月の3ヶ月間のうち支払基礎日数がいずれも15日未満の場合
従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定します。
3.短時間労働者(週の所定労働時間が20時間以上4分の3未満) |
短時間労働者の定時決定は4月、5月、6月のいずれも支払基礎日数が『11日以上』で算定することとなります。なお、月額変更届も支払基礎日数「11日以上」で提出となります。
※「短時間就労者」と「短時間労働者」と勘違いしやすいですね。
◎被保険者の総数が常時50人を超える事業所は、令和6年10月から適用となります。
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Q 当社の正社員が、このたび2ヶ月後の日付を指定して辞職の意思表示をしました。
「どうして2ヶ月後なのか」と確認したところ、今やっている仕事のキリが良いのが1ヶ月後で、そこから有休を1ヶ月分消化するからということでした。
このような2ヶ月も先の辞職は認められるのでしょうか。
という観点から、2週間を超える日付を定めて辞職をすることは認められるものと考えます。
1.解約自由の原則 |
正社員であれば期間の定めのない労働契約であると解され、民法627条1項は、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」と定めており、2週間の予告期間を置けば、労働者は何らの理由も必要なく、労働契約を終了させることができます。これは「期間の定めのない雇用契約については、いつまでも当事者双方が拘束されることは望ましくないという観点から、理由を問わずに契約を解消しうることとしつつ、突然の契約終了による相手方の不測の損害を小さくし、契約関係の終了に円滑に対応するため」と説明されています。
2.2週間を超える日付を労働者が指定することはできるのか |
民法627条1項が「解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定めていることから、2週間を超える日付を指定したとしても、2週間を経過した日に突然労働契約が終了するとも解され、どのような取扱いとなるかが問題となります。
この点を明示した裁判例はありませんが、突然の契約終了による使用者の不測の損害を回避するという観点からすれば、2週間を超える日付を定めて辞職をすることはこの趣旨に反するものではないため、認められるものと考えます。したがって、2ヶ月先の日付を指定した辞職の意思表示は有効であると考えます。
3.労基法20条について |
労基法20条が30日前の予告等を求めているため、1ヶ月後までしか認められないのではないか、という疑問も生じるかと思いますが、労基法20条は、あくまでも30日以上の予告期間や30日分の平均賃金の支払いを義務付けることにより、突然の解雇による生活困窮等を緩和するという労働者保護のために設けられたものであり、労働者からの辞職の意思表示については無関係のものと解されます。
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Q 従業員を営業に配転しようとしたら、「私は経理で採用されて、25年間経理しかしていないので、経理以外の仕事はしません」と言って拒否されました。他の業務への配転を命じることはできないのでしょうか。
1.原則として配転命令は可能 |
就業規則や労働契約書に「配転することがある」という記載があれば、本人の同意がなくても配転を命じることができます。しかし、職種・職場限定合意がある場合、会社が一方的に配転を命じることはできません。その他、業務上の必要性がない場合や、不当な動機・目的を持ってなされたものであるとき、従業員の不利益が非常に大きい場合には、権利濫用となって配転命令が無効となることがあります。
2.職種限定合意 |
就業規則や労働契約書に上記のような配転規定がある場合は、配転規定の適用がない旨契約書で明確に定めている等の事案でない限り、職種限定合意は簡単には認められません。
専門職や特殊技能を要する職種は職種限定合意が認められやすいといわれますが、24年間アナウンサー業務に従事していた者に対するテレビ編成局への配転命令の効力が争われた事案で、就業規則や労働契約に職種限定の定めがない、アナウンサーの配転が頻繁に行われている等の事情から職種限定合意が否定されました。
長時間同じ業務に従事していれば職種限定合意があると主張されることもありますが、二十数年間ほぼ継続して機械工として就労した者について、そのことのみから職種限定合意を認めることはできないとされた例もあります。
3.労働条件通知書の記載 |
採用時の労働条件通知書に「経理業務」と記載があったとしても、現行法下では、通常、最初の業務内容という意味に過ぎず、それのみで職種限定合意が認められるものではありません。厚生労働省は、異動の可能性がある範囲を企業が労働者に事前に明示するよう義務付ける検討をしており、労働条件通知書などに仕事内容や勤務地の範囲を明示することが想定されていますので、今後の改正に留意が必要です。
4.権利濫用 |
職種限定合意が否定された場合でも、採用時の事情等によっては配転命令が無効とされることがあります。経理の能力に着目されて高度な経理の仕事をするという前提で採用された等の事情があるなら、なぜ営業への配転が必要なのか、業務上の必要性について精査しておく必要があります。従業員への説明の丁寧さを考慮する裁判例も存在するため、なぜ営業への配転が必要なのかを丁寧に説明することが重要です。
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Q 問題の多い従業員に注意指導したところ、「もうやっていられない、辞める」と言って帰ってしまいました。退職したものと扱ってよいでしょうか。
1.口頭での退職の意思表示 |
法的には口頭での退職の意思表示も有効です。ただし、口頭による退職の意思表示は、確定的な退職の意思表示とはいえないと判断されるリスクがあります。退職勧奨を受けてその場で「退職させていただきます。」と発言し、人事部長から「分かりました。」などの返事を受け、2日後には私物を持ち帰り、PCのネットワーク上の自分のフォルダを削除し、退職願が提出されないまま退職を撤回した事案では、撤回が認められませんでした。このように、退職を前提とする行動が重なれば、確定的な意思表示と評価することは可能でしょう。離職票の準備や有給休暇の処理等を迅速に進め、可能な限りやり取りの証拠を残しておくことが大切です。
また、就業規則に退職願を提出するように記載されていると、退職願を提出していない限り、正式には退職していないという主張を誘発します。「退職は、口頭で申し出るか、退職願を提出する。ただし、会社が要求した場合には退職願を提出する。」という定めにされることをおすすめします。
2.退職の撤回 |
従業員が退職を申し出た場合でも、会社が正式に退職を受理して本人に通知するまで、従業員は退職を撤回できます。裁判例では、教員が校長(任免権者でない)に対して退職願を提出した約2時間後に校長に架電して退職願を撤回し、撤回が認められた事案や、反対に、人事部長の目の前で退職願に署名押印して人事部長が受理し、その翌日に退職を撤回したが、撤回が認められなかった事案があります。
両者の大きな違いは、権限のある者が受理していたか否かという点です。退職願が提出されれば、すぐに権限のある者が受理し、正式に承認したことを本人に伝えることが、撤回をブロックする有効な方法です。
口頭で「退職します」という発言があった場合も同様です。退職願や退職合意書を用意したり、押印してもらったりするなど、会社の正式な受理に時間をかけていると、その間に「やはり退職しません」と退職を撤回されるリスクが高くなります。正式な書類を用意する時間のない場合は、まずは権限のある者が正式に退職を承認し、正式に承認したことをすぐに本人に伝えてその証拠を残しておくことが大切です。
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Q 勤務地域を限定した正社員制度の導入を検討したいのですが、その特徴を教えてください。
1.勤務地域を限定した正社員制度 |
日本の雇用社会では、複数の地域に事業所がある会社の「正社員」といえば、転居を伴う転勤についても当然に想定されているというのが一般的なイメージです。一方、勤務地域を限定した正社員とは、転居を伴う異動が想定されていない雇用形態を指していることが多いと思われます。
このような制度が導入されるようになった背景として、私生活の事情(子育てや介護等で転居を伴う異動を希望しない等)に合わせた雇用の選択肢を増やしてほしいという労働者側のニーズと、そのような労働者側のニーズに応えることで優秀な人材の流出を防ぎたいという使用者側の思惑が一致したということがいえます。
2.使用者側のメリットとデメリット |
勤務地を限定することで、従業員の選択肢が増え、企業への定着を期待することができるという点が最大のメリットです。また、企業の戦略として、地域の特性を活かした採用や事業展開をするといった目的で導入を検討する場合も有用であると考えられます。優秀な人材を確保するという観点からは、いわゆる非正規雇用の従業員からの登用制度を設けるといったことも検討に値します。
一方、デメリットとしては雇用管理の複雑化、配置転換の柔軟性の低下といった点が考えられます。
3.制度の設計 |
勤務地域を限定した正社員制度を導入する際は、賞与を含めた賃金の水準や等級制度の設定を行っておくことが望ましいです。労働条件の均衡という観点からすれば、転居を伴う異動という不利益を受けないため、勤務地域の制限のない正社員との間では賃金水準に差を設けておくことが考えられます。
例えば、等級に従って基本給を設定する給与制度を採用している会社において、勤務地を限定した正社員と限定していない正社員が同じ等級の場合であっても基本給の金額に差を設けておく、あるいは等級の上限に差を設けておくといった対応などが考えられます。
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Q 中小企業である当社ではこれまでデジタル化に手をつけていなかったため、これから業務の効率化のためにデジタル化に取り組もうと思っていますが、どのように進めていけばよいのでしょうか。
1.遠い目標より身近な問題解決 |
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と聞いても、未だに紙の資料が溢れ、デジタル化すらできていない中小企業にとっては遠い世界のように聞こえるかもしれません。そのような企業は、DXといった遠くの目標よりも、まずは業務を行う上で非効率となっている目の前の問題を洗い出すことから始めるべきでしょう。遠い目標よりも一つ一つの身近な問題解決、小さな業務の効率化から成功体験を積み上げていくことをお勧めします。
2.デジタル化は目的ではなく手段 |
業務効率化=デジタル化ではありません。ある顧問先で身近な問題に関する従業員ヒアリングを行ったところ、各人が抱える顧客の資料や作成した資料を自らで保管する人がいて、資料を探すのに手間がかかっているという話が複数から聞かれました。整理整頓は業務以前の問題のように感じるかもしれませんが、コクヨ株式会社の調査によると、1日のうち書類を探す時間はおおよそ20分、1年間に換算すると約80時間に相当することが分かっています。この場合の解決すべき問題は「資料を探すのに手間がかかること」であり、それを解決する手段としては、資料は必ず共有の棚に保管する、資料に番号を付けてその番号とタイトルを目次に記入して一覧化するというルールを浸透させることなどが考えられます。
また、別の顧問先では、目次をExcelで作成し、資料の1ページ目のみをスキャナで読み込み、資料番号と資料のタイトルをファイル名にして、共有ドライブに保存するという半アナログ・半デジタルな方法を用いています。
必ずしもデジタル化といった手段にこだわる必要はなく、アナログな方法でも構いません。目的と手段を混同しなければ改善されるかと思います。
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Q 来年4月より残業代の割増率が引き上げられると聞きました。その内容と対応について教えてください。
に対してはこの引き上げが猶予されておりました。2023年4月1日からは中小企業に対しても、月60時間超の法定時間外労働に対する割増賃金率が、25%以上から50%以上に引き上げられます。
1.改正内容 |
中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になります。従わなかった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科されることになるため、必ず実施する必要があります。
1ヶ月の 時間外労働 | 改正前(2010年4月1日~) | 改正後(2023年4月1日~) | ||
60時間以下 | 60時間超 | 60時間以下 | 60時間超 | |
大企業 | 25% | 50% | 25% | 50% |
中小企業 | 25% | 25% | 25% | 50% |
2.代替休暇 |
月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。代替休暇については、取得単位が1日または半日となりますので、端数の時間については引き上げ分の割増賃金の支払が必要となります。
3.深夜・休日労働の取扱い |
①深夜労働との関係
月60時間を超える時間外労働を深夜(22:00~5:00)の時間帯に行わせる場合、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。
②休日労働との関係
月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれませんが、それ以外の休日に行った労働時間は含まれます。なお、法定休日労働の割増賃金率は35%です。
4.必要となる対応 |
月60時間超の時間外労働を把握し、割増賃金あるいは代替休暇の時間数を計算します。また、割増率増加による人件費の増加を回避するため、業務効率の推進、残業抑制のための警告基準の設置などして、60時間を超える残業の削減に努める必要があります。
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Q 能力不足の社員を解雇すべきと考えています。解雇に踏み切っても問題ないでしょうか。
1.解雇は最終手段 |
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、解雇権の濫用として無効になります。法定の解雇予告や解雇予告手当の支払いをしていても、解雇権の濫用に当たれば解雇は無効です。
裁判所は、解雇は最終手段であって解雇以外の方法(注意指導・配転等)によって改善される可能性がある場合、解雇権の濫用で無効と判断する傾向があります。横領や職場での暴力行為等、問題の程度が大きい場合には他の方法を経ずに解雇しても有効と認められることもありますが、能力不足等の理由で解雇する場合、いきなり解雇することは非常に危険です。
2.注意指導 |
解雇以外の方法として、まず注意指導が挙げられます。解雇を検討するほどの場合であれば、後になって従業員が「注意指導を受けていない」と主張するリスクも高いため、書面を作成してそれに沿って面談し、その様子を録音するくらいの慎重さが推奨されます。注意指導の内容は、抽象的なものでは全く意味がないため、5W1Hで具体的かつ詳細に指摘し、さらにそれをどのように改めるべきなのか、何をどうすればよいのかを具体的に指摘する必要があります。
注意指導は丁寧であればあるほど好ましいですが、事案によって求められる程度は異なります。新入社員など未経験者でミスが多い等の場合は丁寧な指導が必要ですが、経験者・高度人材を高い給与で中途採用したような場合は、基礎的な能力はあるという前提で注意指導をすれば足ります。
3.普通解雇か懲戒解雇か |
解雇をする場合、普通解雇か懲戒解雇かを検討する必要があります。懲戒解雇の方が有効と認められるハードルが高いため、安全策として普通解雇を選択したり、懲戒解雇しつつ予備的に普通解雇をしたりするという方法もあります。実際に、懲戒解雇は無効だが普通解雇は有効とされた裁判例もあります。
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Q 有給休暇を10日以上持っている従業員に対して年5日を確実に取得させる義務が使用者にありますが、パート従業員で前年の繰越分も含めて10日以上の有給休暇を持っている者も対象となるのでしょうか。
1.年休の確実な取得 |
働き方改革の一環で、年次有給休暇(以下「年休」といいます)の取得を促進するための定めが設けられ、使用者は年10日以上の年休が付与される労働者に対して、年休日数のうち年5日については時季を指定して取得させることが義務付けられました。
年休は労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的とするものであり、労働者が請求する時季に与えなければならないのが原則ですが、日本では同僚への気兼ねや、請求することへのためらい等の理由から、取得率が低調な状況にあり、年休の取得促進が課題となっていました。
そこで、年10日以上の年休が付与される労働者に対しては、使用者に対して年5日の年休の時季指定義務(計画有休を含む)を課すことにより、年休の確実な取得が図られています。
なお、あくまで年休の確実な取得を目的とするものであるため、既に年5日以上の年休を請求又は取得している労働者は対象にならず、使用者から時季を指定して取得させることができません。
同様に、年5日に満たない日数の年休を請求又は取得している労働者については、その日数を時季指定義務が課される5日から控除する必要があり、使用者が時季を指定しなければならないのは残りの日数分のみになります。
2.前年度繰越分と当年度付与分を合算して10日以上となる労働者はどうなるか |
パート従業員のように週の所定労働日数が正規従業員と比較して少なく、年休が比例付与されている従業員の場合、前年度の繰越分を含めて10日以上となるケースが考えられます。この場合は、時季指定義務の対象にならず、使用者側から強制的に時季を指定して取得させることはできません。
時季指定することはできませんが、パートやアルバイトがなかなか年休を取得することができておらず、「強制的にシフトに組み込んで欲しい」という要望が上がっている企業では、改善の必要があると思われます。この場合、シフト作成者や他のシフト担当者に年休取得に対する理解を求めると共に、シフト担当者が気兼ねなく年休を取得できる体制を整備するのが望ましいと思われます。
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Q 新型コロナウイルス感染症の第7波が収束しつつありますが、当社でも感染者や濃厚接触者が複数人出ています。コロナに罹患したり、濃厚接触者に該当したりして会社を休んだ場合は補償はどのようなものがありますか。
1.従業員がコロナに感染した場合 |
従業員が新型コロナウイルスに感染した場合、当該従業員が社会保険に加入していれば傷病手当金の申請をすることが可能です。一般的なケガや病気と同じく、休業が連続して3日となった場合に4日目以降の休業について支給対象となります。また、一般的なケガや病気と異なり、新型コロナウイルスに感染したことによる14日未満の休業であれば、4枚目の医師の証明や自宅療養申立書の添付を行わずに申請することが可能です。(協会けんぽ愛知支部の場合で、他の都道府県支部や健康保険組合の場合は異なる可能性がございます。)
また、傷病手当金の請求をせずに有給休暇を取得することも可能となります。
一方、社会保険に加入していない従業員が感染した場合は申請対象となりませんので、注意が必要です。この場合は欠勤とするか、有給休暇を取得していただく形となります。
2.従業員が濃厚接触者になった場合 |
従業員が濃厚接触者となって出勤できない場合は傷病手当金の申請ができないため、基本的には有給休暇で対応していただくこととなりますが、令和4年9月30日までの休業については休業支援金を申請することができます。休業支援金については給与の約8割が本人に支給されますが、①事業主から休業を命じたこと②その間に有休を含めて賃金を支払っていないことなどの要件を満たすことが必要となります。なお、現状は9月30日までの休業が対象となっており、10月以降の取扱いについては未定となっております。
3.お子様(小学生以下)の関係で従業員が休業した場合 |
従業員の小学生以下のお子様がコロナに感染した、または濃厚接触者になって学校を休んだ場合に面倒を見るため会社を欠勤するケースが考えられます。その場合は、小学校休業等対応助成金を申請することが可能です。この助成金は休業支援金と異なり、お子様の影響で休業したことが必要となりますが、最も大きな違いは通常の年次有給休暇と別枠の特別休暇として事業主が100%の賃金を支給した場合に、本人ではなく事業主に助成金として上限額までの範囲内で支給した全額が支給される点です。こちらの助成金については10月以降も続くそうですが、1日あたりの上限額の引下げが行われる見込みとなっております。
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Q 今年の1月1日から傷病手当金の支給期間が通算されることになったと聞きました。昨年から傷病手当金を受けている社員がいるのですが、この場合はどうなりますか。
1.傷病手当金の支給期間の通算とは |
傷病手当金が支給される期間は、同じケガや病気につき、支給が開始された日から最長1年6ヶ月とされており、この間に仕事復帰した期間があって傷病手当金を受給しない期間があった後に再度療養する場合でも、支給開始後1年6ヶ月をヶ月を超えると支給されませんでした。
治療と仕事の両立の観点から健康保険法等が改正され、令和4年1月1日から傷病手当金の支給期間が通算化されることになりました。これにより、支給開始日から「通算して1年6ヶ月」になるまで受給することができます。
2.以前から傷病手当金を受給している場合は |
3.傷病手当金の支給される要件 |
健康保険の被保険者がケガや病気で会社を休んだとき、以下の条件をすべて満たしているときに支給されます。
(1)業務外の事由によるケガや病気の療養で休業していること
自宅療養の期間についても支給対象となります。ただし、業務災害や通勤災害の場合は支給対象外です。
(2)仕事に就くことができないこと
仕事に就くことができない状態については、医師や療養担当者の意見と被保険者の仕事内容をもとに判定されます。
(3)連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかったこと
ケガ等で仕事を休んだ日から連続して3日間の待期後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
(4)休業している期間について給与の支払いがないこと
給与が支払われている期間は支給されませんが、給与が傷病手当金の額より少ない場合は、差額が支給されます。
4.管理体制の見直しを |
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Q1 現在、育児休業を延長し、育児休業給付金を受給している社員から、第2子を妊娠したとの連絡がありました。
現在受給している育児休業給付金はいつまで受給できるのでしょうか。
1.育児休業期間 |
2.出産手当金との併給 |
3.実務担当者へのアドバイス |
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Q1 2022年10月から、従業員数101人以上の企業で働く、週の所定労働時間が20時間以上の短時間労働者は、新たに社会保険に加入になると聞きました。契約上の所定労働時間を20時間未満にしておけば、社会保険に加入しなくてよいでしょうか?
Q2 健康保険の被扶養者として認定されるための要件の一つに、年収が130万円未満であることという収入要件がありますが、この要件に当てはまれば新たに社会保険に加入しなくてもよいでしょうか?
① 週の所定労働時間が20時間以上。② 月額賃金が8.8万円以上。③ 学生でない。
④ 従業員数101人以上の企業で働いていることの全てに該当すれば社会保険に加入しなければなりません。
Q3 短時間労働者の社会保険の加入については、月額賃金が8.8万円以上である他に、よく言われる106万円の壁を超えるかどうかも勘案されますか、106万円未満にすれば加入しなくてよいですか?
Q4 短時間労働者として届出をする要件の一つである「月額賃金が8.8万円以上」に該当するかどうかは、届け出後も各労働者について毎月確認する必要がありますか?また、被保険者資格を取得後に月額賃金が8.8万円未満となった場合は、被保険者資格は喪失し、加入しなくてよいですか?
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Q 今年の10月より男性の育休取得促進のための、子どもの出生直後の時期の育休制度である「産後パパ育休」が創設されると聞きました。概要を教えてください。
呼ばれる制度が創設されます。産後パパ育休を取得した後に育児休業を取得することも可能です。また、子の出産時から1歳になるまで連続して1年間育休を取得したいという男性は、産後パパ育休は取得せず、育児休業を1年間取得する、ということになります。そのほか大きな変更として、育休を分割して2回取得することが可能となりました。
産後パパ育休(R4.10.1~) 育休とは別に取得可能 | 育休制度(R4.10.1~) | 育休制度(現行) | |
対象期間 取得可能日数 | 子の出生後8週以内に4週間まで取得可能 | 原則 子が1歳(最長2歳)まで | 原則 子が1歳(最長2歳)まで |
申出期限 | 原則、休業の2週間前まで | 原則 1か月前まで | 原則 1か月前まで |
分割取得 | 分割して2回取得可能 (初めにまとめて申し出ることが可能) | 分割して2回取得可能 (取得の際にそれぞれ申出) | 原則 分割不可 |
休業中の就業 | 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能 | 原則 就業不可 | 原則 就業不可 |
1歳以降の延長 | 育休開始日を柔軟化 (夫婦が育休途中交代可能) | 育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定 | |
1歳以降の再取得 | 特別な事情がある場合に限り再取得可能 | 再取得不可 |
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Q 最近、蛍光ペンや消しゴムといった備品の文房具が異常な早さで減っています。
従業員が勝手に自宅へ持ち帰っていると考えられますが、この場合どのような問題が生じるでしょうか。
また、勝手に持ち帰らせないようにするための対策はどうすればよいでしょうか。
以下で詳細をご説明します。
1.備品の持ち帰りと業務上横領 |
会社の備品を私物化し、自宅に持ち帰って使用するというようなことは、大げさに言うと窃盗または業務上横領と考えることができます。ニュースで従業員が巨額のお金を不正に私的流用したと報道されることがありますが、1億円の巨額資金も100円の蛍光ペンも「会社のもの」であることは変わらないため、会社で購入した日用品や文具を大量に持ち帰るといったようなことは、当然認めるべきではありません。
また、会社の備品等を本人が自宅等で使用をしているような場合には、本人はそれによって給与以外の経済的利益を得ていたと考えることができます。国税庁の「タックスアンサー」では、給与所得となるものの一部として「物品その他の資産を無償又は低い価額により譲渡したことによる経済的利益」を挙げています。これについての税務上の判断は税理士等に相談をして判断を仰いでもらうことになるかと思いますが、私的流用は職場風土の悪化を招くこともあるため、注意しなければなりません。当然のことですが、小さな文具を持っていくこと自体、職場で禁止行為として定めておくべきでしょう。
2.定めておきたいルールと就業規則における明確化 |
従業員による会社備品の私物化を防止するにあたっては、仮に蛍光ペンや付箋といったものでも、自宅等において私的利用することは全面的に禁止する旨をまずは明確に従業員に伝える必要があります。これは就業規則においても明確にすることが望ましく、服務規律や制裁処分の箇所において、より具体的に記載しておくべきでしょう。企業の中には詳細に誰にいくつ蛍光ペンを渡したといったように、細かな記録によって備品管理を行っているケースがありますが、従業員が「疑われている」といった不信感を会社に対して抱く可能性があるため、従業員を信じる管理方法に変えていく必要があるかと思います。
また、こうした煩わしい管理や心配をすることを望まないのであれば、会社が細かな備品を購入する代わりに毎月いくらか文具手当を出し、その手当の中で自分で調達してもらうという方法を考えてもよいでしょう。
当たり前のことが当たり前に管理できるような職場風土にするためにルールの整備は不可欠であり、就業規則の見直しは考えていきたいところです。
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Q いつコロナウイルス感染が終息するか先の見えない状況で、最近はストレスが溜まって体調を崩す社員をよく見かけます。そのような場合、どのように受診を勧めることが適切でしょうか。また、精神科、心療内科など様々な名称を目にしますが、どのような医療機関を勧めればよいでしょうか。
1.受信の勧め方 |
どの程度の症状であれば医療機関への受診を勧めるべきかに関しては
①就業時間外や休日など比較的リラックスできる状況においても気分の落ち込みや苛立ち、不快感がある場合
②同様の症状が2週間以上続く場合
を一つの目安と考えます。ただし、不調に陥った際は気分の落ち込みだけでなく、食欲低下、不眠、頭痛、下痢、動悸、耳鳴り、胃痛がみられることもあります。身体症状が主たる場合は、まず内科や耳鼻科といった身体疾患に関する診療科を受診し、明らかな異常がみられなければメンタル不調の可能性を考える必要があるでしょう。
メンタル不調の特徴として、自覚症状が乏しく、家族や職場の同僚など周囲が先に変化を感じることも多いため、周囲の支援が大きな役割を果たします。一方で、このようなケースでは自覚の乏しさや受診への抵抗感から、スムーズに受診に至らずに問題となることがあります。不調者の心情や立場に立って丁寧に体調を確認し、「病気ではないことの確認のために受診しては?」といった形での促しや、必要に応じて産業医や保健師といった職場の産業保健スタッフに相談してみるように提案してみることもよいでしょう。
2.受信すべき診療科目について |
メンタル不調に対応できる診療科として精神科、心療内科があります。精神科は心の症状や病気を専門とする診療科であり、心療内科は心理的、社会的要因を原因としたからだの症状を専門とする診療科になります。
精神科は過去に神経科と呼ばれていたため、実質は精神科と同じです。脳卒中やパーキンソン病などの脳神経の専門である脳神経内科は診療範囲が異なるため、受診の際には注意が必要です。
心の症状の自覚がはっきりとある場合は精神科・神経科を、身体症状に対しての自覚が強い場合は心療内科をお勧めしています。ただし、実際には心の症状と体の症状が併存する場合も多く、メンタル不調は長期にわたって不調を放置することで回復にも時間を要してしまうことがあります。このため、まずは早めに医療機関に相談してみること、職場としては不調者が早く医療機関に受診できるような支援体制を作ることが重要となります。
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Q ハラスメントの相談の際には、『相談対応マニュアル』を用意しておいたほうがよいでしょうか。
①マニュアルがあると適切な対応につながりやすい
厚生労働省の令和2年度ハラスメント実態調査のデータを基に推計すると、パワハラとセクハラを合わせた社内相談件数は、社員100人の会社で平均して年間1~2件です。相談窓口担当者は、相談や対応の方法についての研修を受けることが望ましいですが、研修を受けたとしても、実際に相談対応をするのは、半年先、1年先になるかもしれません。研修内容を忘れてしまう可能性もありますので、その都度参照できる『相談対応マニュアル』を用意しておいたほうが、適切な対応をしやすくなります。
②人事院の相談指針をベースにしてマニュアルを作る
『相談対応マニュアル』の作成を外部の専門家に依頼することもできますが、人事院の資料を活用することもおすすめします。人事院のサイトで「人事院規則10-16(パワー・ハラスメント防止等)の運用について」を検索してみてください。その中の、別紙第2に「パワー・ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針」が掲載されています。概要は下記のとおりで、相談対応の仕方がコンパクトにまとまっています。
第1 基本的な心構え 第2 苦情相談の事務の進め方 1.苦情相談を受ける際の相談員の体制等 2.相談者から事実関係等を聴取するに当たり留意すべき事項 3.行為者とされる者からの事実関係等の聴取 4.第三者からの事実関係等の聴取 5.相談者に対する説明 第3 問題処理のための対応の在り方 1.基本的事項 2.事案に応じた対処 |
国家公務員を対象とした相談指針ですが、文言を少し変えて自社に合うようにカスタマイズすれば、そのままマニュアルとして活用できます。この相談指針には、相談者の苦情への配慮、相談の際に確認すべき事項、行為者とされる者への対応法など、必要なことがほぼ含まれています。
なお、セクハラについては人事院規則10-10、マタハラ等については人事院規則10-15を見ると、同様の相談指針が掲載されています。いずれの相談指針も、相談の進め方に関しては共通した内容となっていますが、問題処理対応に関してはパワハラとセクハラで記載内容が大きく異なっています。これらの人事院の相談指針をベースにして、マニュアルとして活用してはどうでしょうか。
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Q 脳・心臓疾患の労災認定基準が働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、最新の医学的知見を踏まえて改正されたと聞きました。概要を教えてください。
【改正前】 発症前1か月におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたり80時間を超える時間外労働が認められる場合について業務と発症との関係が強いと評価できることを示していました。 |
【改正後】 左記の時間に至らなかった場合も、これに近い時間外労働を行った場合には、「労働時間以外の負荷要因」の状況も十分に考慮し、業務と発症との関係が強いと評価できることを明確にしました。 |
労働時間以外の負荷要因 |
勤務時間の不規則性 |
拘束時間の長い勤務 |
---|---|---|
休日のない連続勤務 |
||
勤務インターバルが短い勤務 |
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不規則な勤務・交代制勤務・深夜勤務 |
||
事業場外における移動を伴う業務 |
出張の多い業務 |
|
その他事業場外における移動を伴う業務 |
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心理的負荷を伴う業務 ※改正前の「精神的緊張を伴う業務」の内容を拡充 |
||
身体的負荷を伴う業務 |
||
作業環境 |
温度環境・騒音 |
その他の改正点として、認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」が追加されました。(不整脈によるものを含む)
※労働時間が長い(100時間又は80時間)以外の負荷要因にも気を付けて社員の健康を守りましょう!
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Q 最近、応募者が用いる履歴書の様式が変わったと聞きました。具体的に変わった点や、それに伴って採用手続上留意すべき点はありますか。
<主な変更内容>
①性別欄が任意記載となりました。これはトランスジェンダーの応募者が自認する性別と異なる性を記載することに苦痛を感じるなどの問題点が指摘されていたためです。新様式では性別欄の記載が任意であること、未記載とすることも可能であることが欄外の注意書きに記載されています。 ②扶養家族数、配偶者の有無、扶養義務の有無および通勤時間の欄が削除されました。これらはプライバシーの要素が非常に高く、公正な採用選考として(1)応募者の基本的な人権を尊重すること (2)応募者の適正・能力に基づいて行うことの2点を基本的な考え方とし、就職差別につながるおそれがあるものとして厚生労働省が定めています。 |
<新様式を使用しない場合の注意点>
新様式に法的拘束力はなく、会社独自の履歴書を使用することも可能ですが、多くの応募者が新様式を使用することが予想されるため、その様式の内容を慎重に検討すべきです。
<面接時の対応の見直し>
①性別欄が任意記載となったため、採用選考段階で性別が不明となるケースが増えると予想され、業務の遂行上一方の性でなければならない業務(警備員など)の採用の場合、性別の確認ができないと採用の判断ができないといった問題が生じる可能性があります。この場合の対応策としては、面接時に性別を把握する必要がある理由を説明した上で性別を尋ねる質問をし、任意での回答を求めることが現実的です。 ②扶養家族数、配偶者の有無、扶養義務の有無および通勤時間といった働き方に影響する情報は、把握せずに採用すると問題が生じやすいため、面接の際に質問することが対応策として考えられます。ただし、家族の職業や収入に関しては収集が禁止されているため、言及しないよう注意が必要です。質問をする際も、時間外労働や転勤、テレワークなどの働き方そのものについての質問を面接者全員に行うことによって、ハローワーク等からの指導リスクを大幅に下げることが考えられます。ただし、時間外労働が対応可能であったとしても、働き方をめぐってトラブルが生じるリスクがあるため、指導リスクはあるとしても、面接がある程度進んだ段階などに、働き方に影響を及ぼす家庭の事情を一定程度踏み込んで把握しておくべき場合もあり得ます。 |
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Q このたび、子どもが産まれたので、扶養異動手続きを行いたいと考えています。夫婦共働きですので、今回は妻の扶養に入れたいと考えておりますが、扶養する被保険者は自由に選択できるのでしょうか。
年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするか調整している間、その子が無保険状態とならないようにするためです。
新しい認定基準のポイントは以下の通りです。
(1)夫婦とも被用者保険(健康保険、共済組合等)の被保険者の場合
①被保険者の年間収入は、過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとし、年間収入が多い方の被扶養者とする。
②双方の年間収入の差額が多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
③被扶養者として認定しない保険者等は決定にかかる通知を出すので、通知を受けた被保険者はもう一方の
保険者等に当該通知を添えて届出をする。
④いずれの扶養とするか保険者間の協議が整わない場合は、初めて届出が提出された日の属する月の標準報酬月額が高い方の被扶養者とし、同額の場合は届出により主たる生計を維持する者の被扶養者とする。
(2)夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合
①被用者保険の被保険者は年間収入を、国民健康保険の被保険者は直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を生計を維持する者とする。
②被扶養者として認定しない保険者等は決定にかかる通知を出すので、通知を受けた被保険者は当該通知を添えて国民健康保険の保険者に届出をする。
③いずれの扶養とするか保険者間の協議が整わないときは、直近の課税(非課税)証明書の所得金額が多い方を主として生計を維持する者とする。
(3)年間収入が逆転した場合
年間収入が逆転したため被扶養者認定を削除する場合は、年間収入が多くなった被保険者の保険者等が
被扶養者として認定することを確認してから削除する。
(4)被扶養者の認定後に異議がある場合
被保険者または関係保険者の申立てにより、被保険者の勤務する事業所所在地の地方厚生(支)局保険
主管課長が関係保険者の意見を聞き、あっせんを行うことになる。
Q 弊社では現在、200人の従業員を雇用しています。来年からパートやアルバイトの社会保険加入条件が変わると聞いたのですが、弊社は変更の対象となりますでしょうか。
<従業員数の考え方と新たな加入対象者>
従業員数は、フルタイムの従業員数と週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数の合計で考えます。
この人数にはパート・アルバイトも含み、合計101人以上の企業が2022年10月からの変更対象となります。
変更対象となった企業のうち、以下の要件を全て満たすパート・アルバイトの方が新たな加入対象者となります。
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<加入条件変更に向けて早めに行った方が良いこと>
まず、2022年10月から加入対象者の範囲が変わることを社内メールや掲示板などを用いて、社内に周知させることが大切です。
その後、説明会や個人面談など、各企業にあったスタイルでより詳しい内容を伝えると良いでしょう。
社会保険に加入すると保険料がかかりますが、医療保険や年金保障の幅が広がるといったメリットをしっかりと理解してもらうことが、重要になってきます。
●社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する主なメリット
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<書類の届出と助成金>
従業員数が101人以上500人以下の企業に対して、2022年8月までに日本年金機構から新たに適用拡大の対象となることを知らせる通知書類が届きます。通知書が来たら、届書の準備をし、2022年10月5日までに届出をして下さい。
また、現在従業員数が500人以下の企業は労使合意のもと、企業単位でパート・アルバイトを社会保険に加入させることができます。施行期日までに適用拡大するとキャリアアップ助成金を受け取れる場合があったり、社会保険に加入できることを魅力に感じ、求人の応募をする人が増えたりする可能性があります。
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Q 当法人で運営する介護施設の従業員が、発熱して病院を受診したところ、新型コロナウイルスの感染が判明し、入院、休業をしました。労災保険の適用は可能でしょうか。
<新型コロナウイルス感染症にかかる労災補償>
新型コロナウイルス蔓延の長期化により、従業員が感染したケースが増加しています。それに伴い、労災の請求件数と決定件数も増加しています。
現状、複数の感染者(2名以上)が確認された場所や、顧客との接触や近接が多い労働環境下での業務によって感染した場合は、労災保険給付の対象となる取扱いとなっており、加えて、労災保険給付の対象となるか否かの判断は、請求書が提出された後に行うものとされています。
<労災認定の具体的な事例>
医療従事者等(医師、看護師、介護従事者等)の場合、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象となります
(例:日々多数の感染が疑われる患者に対する診察業務や看護業務、介護業務を行っていた)。
医療従事者等以外で感染経路が特定された場合は、感染源が業務に内在していることが明らかな場合は対象となります(例:飲食店員や保育士の業務従事中にクラスターが発生して、これが原因と認められた)。
医療従事者等以外で感染経路が特定されない場合は、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務に従事し、業務により感染した蓋然性が高いと認められる場合は対象となります。
●例:顧客等との接触や近接の機会が多い労働環境下 販売店員、飲食店員、バス・タクシー運転手、保育士、診療所事務員、調剤薬局事務員等が、発症前14日間に日々数十人との接客等がある感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下で業務に従事し、加えて、私生活での行動等から一般生活では感染するリスクが非常に低い状況であったと認められ支給決定。 |
<労災申請の手順>
療養(治療)の給付は、労災指定病院の場合は療養の給付請求書を病院へ提出します。休業した場合は、休業補償給付支給請求書を労働基準監督署へ提出します。その後、調査のために、従業員へ発症前14日間の行動歴を調査する「申立書」の提出が求められます。同様に、事業主にも「使用者報告書」の提出が求められます。これらの提出書類により審査され、申請が認められると労災認定となります。また、死亡した場合は、労働者の遺族が遺族補償年金等の請求を行うこととなります。
蓋然性とは・・・あることが起こる確実性の度合い。知識・判断からの確からしさの程度。公算。実現する可能性や、そうなる確率が当然のように高いことと解釈する。
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Q ハラスメント防止には職場の実態を把握することが重要と聞きます。どのように実態を把握すればよいですか。
厚生労働省のサイト『あかるい職場応援団』の「ハラスメント関係資料ダウンロードコンテンツ」からアンケートをダウンロードできます。アンケート結果を見て「わが社は、世間一般の会社よりハラスメントが多いか、少ないか」ということを知りたい場合は、厚生労働省が公表している『職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書』のような比較可能なデータが掲載されている調査報告書を利用する方法もあります。比較することによって、自社の状況がより明確になります。
私のおすすめは、上司、部下、同僚とのコミュニケーションの状況についての質問項目を入れることです。一般的に、上司とコミュニケーションをとりにくい職場でパワハラが起こりやすい傾向が出ています。調査結果から、上司とのコミュニケーションのとりにくさとパワハラとの関連が見られた場合には、具体的な施策として、定期的な上司と部下の1対1のミーティングを導入する方法などを取るとよいでしょう。
ハラスメントのアンケートにはセンシティブな情報が含まれている為、匿名であったとしても回収ルートによっては本人が特定されてしまうおそれがあります。紙のアンケートの場合は郵送で人事部門に送ってもらうなどの配慮が必要です。ネット上で簡単にアンケートを作れるMicrosoft FormsやGoogle Formsを利用するのもよいでしょう。両者とも匿名となっており、スマートフォンで回答できるのも魅力です。自由記述欄を作っておくと様々な情報が集まるかもしれません。
全社員を対象に実施しても、回収率が低ければ実態をつかむことができないため、ネット上のツールなどもうまく活用して、回収率を高める工夫をしましょう。
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Q 「4月から中小企業も同一労働同一賃金」というニュースをよく見かけますが、対応できているか不安です。他社はどのように対応されているか教えてください。
パートタイム労働者の待遇について、通常の労働者との働き方の違いに応じて均等・均衡待遇の確保を図るための措置を講じなければなりません。対応された各社の事例を紹介します。
項目 | 対応事例 |
基本給 ⇒職務に関連するもの | ・基本給は、職務の内容と責任の程度・人材活用の仕組みにより決まるという制度等を作成した。 |
各種手当 皆勤手当・住宅手当・通勤手当・家族手当 ⇒職務に直接関連しないもの | ・皆勤手当、住宅手当(転勤のない会社)は、制度を廃止し、正社員の基本給に含んで支給するようにした。 ・通勤手当は、同じく距離を基準とし、日額で支給するようにした。 ・家族手当は、18歳未満の子について健康保険の被扶養者に該当すれば支払うと正社員と同じにした。 |
福利厚生(病気休職・特別休暇) ⇒職務に直接関連しないもの | ・病気休職の制度を正社員と同じにした。 ・特別休暇(慶弔休暇)を労働日数等に応じて付与するようにした。 |
ただし、適用するパートタイム労働者を労働時間等により区分しています。ガイドラインでも週2日勤務の短時間労働者には適用しないなどとしています。上記表は、各社の事情により最終的な対応を決められた例ですので、自社の状況を検討し対応されると良いと思います。
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Q 派遣社員を直接雇用にする場合に申請できる助成金はありますか。
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Q 36協定の様式が2021年4月から新しくなると聞きました。どこが変わるか教えてください。
①労働者代表が、事業場における過半数で組織する労働組合又は事業場の労働者の過半数を代表する者であることの確認 ⇒ ☑チェックボックス ②・管理監督者でないこと ・36協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票、挙手等の方法で選出すること ・使用者の意向に基づいて選出されたものでないこと ⇒ ☑チェックボックス 協定当事者が過半数労働組合である場合は、①のチェックボックスのみにチェックすれば、形式上の要件に適合する協定となります。 協定当事者が過半数労働者である場合は、①②両方のチェックボックスにチェックしないと形式上の要件に適合する協定届となりません。 なお、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、2021年3月31日以前であっても新様式で提出することができます。 |
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Q 当社では、私傷病休職制度を設けていますが、メンタル不調による求職者も増えている中、長期にわたり、休職と復職を繰り返すケースも出てしまっており、一部では不公平感が募りつつあります。近く就業規則の改定を行う際に、制度や運用を見直すことを検討していますが、どのような点に注意すればよいでしょうか。
不利益変更による制限に注意は必要ですが、①発令・復職のプロセス、②対象者、期間、有休如何、③上限(通算期間や回数の制限)等の観点で、制度趣旨に見合った適切な設計や運用が行われているかについて見直すことをおススメします。
1.発令・復職のプロセス 私傷病休職の発令にあたっては、一定期間の連続欠勤を要件とすることが一般的ですが、要件の裁量を広くし、会社が必要と認めたときには休職を発令できるようにしておくことが望ましいです。 復職判断にあたっては、求職者の健康状態をより具体的に把握することが肝要です。特にメンタル不調の場合は、休職期間中に、通勤訓練や試験出社を実施し、安定的に就労可能であることを確認しながら復職をさせるプロセスを踏むほうが、会社にとっても効率の良い復職判断が可能となります。 2.対象者、期間、有給如何 勤続年数によって休職期間に差を設けることは合理的であり、一般的です。仮に有期雇用従業員について休職を認める場合であっても、原則として、雇用契約期間の満了をもって休職期間の上限とする定めをしておくことが合理的です。 有給如何については、有給から無給への変更は不利益が大きいため、大幅な改定を行う場合には、適切な経過措置や、代替的な施策の併用等、急激な不利益が生じないよう配慮が必要です。 3.上限(通算期間や回数の制限) 1回の休職の期間の定めとは別に、2回以上休職を適用する場合の通算期間や回数の制限についても検討する必要があります。一般的なのは、「同一または類似の傷病」の場合に、利用できる休職期間の通算期間や回数を制限するものです。 通算型の中には、前の休職から一定期間内に休職する場合に限り通算するというものも見られますが、この期間が短いと一定期間我慢すれば際限なく休職の利用が可能となってしまうことになりますので、望ましくありません。 |
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Q 中小企業にも2021年4月より、パートタイム・有期雇用労働法が適用され、同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されていますが、正社員との待遇差の内容や理由などについて説明が必要ですか?
<パートタイム・有期雇用労働法第14条第1項、第2項>
具体的には①雇い入れ時に雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用など)
②求めがあった場合は、待遇決定に際しての考慮した事項③求めがあった場合は、待遇差の内容・理由について説明義務があります。また、説明を求めた労働者に対する不利益な取り扱いを禁止する規定も創設されました。厚生労働省より説明事項文書の例が下記のように出ています。
1.通常の労働者との均衡待遇 【例】「待遇について」通常の労働者との間で不合理な相違を設けません。 2.賃金制度 【例】「基本給について」1年以上勤続しているパートタイム・有期雇用労働者は、人事評価制度に基づいて勤務成績、職務遂行能力を勘案し昇給を行います。昇給は原則として年1回とし、4月に実施します。 3.教育訓練 【例】・〇〇研修(入社初日から2日間実施します。)・▲▲研修(10月頃実施予定。別途連絡します。) 4.福利厚生施設 【例】給食施設:2階の食堂を利用できます。休憩室:1階の休憩室を利用できます。更衣室:1階の休憩室に併設している更衣室を利用できます。 5.正社員転換推進措置(パートタイム・有期雇用労働者の正社員への転換を図る措置として) 【例】ハローワークに正社員募集に係る求人票を出す場合、その募集内容を事業所内でも掲示するほか、社内メールなどにより、パートタイム・有期雇用労働者に対して周知します。外部からの申込みの有無にかかわらず公正な選考を行います。 |
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Q e‐Govが使いやすくなると聞いたのですが、いつ、どのように変わるのですか?
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Q 2022年10月より週に20時間以上の短時間労働者も健康保険・厚生年金保険に加入しなければならない場合があると聞きました。被扶養者でなくなり保険料を支払うようになりますか?
なお、50人超規模の企業の場合は、2024年10月より適用拡大の対象になります。よくある質問を下記にまとめてみました。
⇒ 企業規模要件の「従業員数」は、適用拡大以前の通常の被保険者の人数を指して、その以外の短時間労働者を含みません。つまり、社会保険の被保険者80人ですので、2024年10月からの適用拡大の対象になります。全社員で100人を超えていても加入になるとは限りません。
⇒ 月ごとの従業員数をカウントし、直近12か月のうち6か月で基準を上回ったら適用対象となります。
なお、一度適用対象となったら、従業員数が基準を下回っても引き続き適用されます。また、従業員数のカウントは法人なら同一の法人番号を有する全事業所単位で行われます。
⇒ 週20時間の判定は、基本的に契約上の所定労働時間によって行うため、臨時に生じた残業等を含みません。しかしながら、実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、なお引き続くと見込まれる場合には、3か月目から保険加入となる運用がされています。
なお、給与額が月に88,000円未満の場合は、適用されません。この判定は、基本給及び諸手当によって行われ、残業代・賞与・臨時的な賃金等を含みません。諸手当には、最低賃金において算入しないと決められている精皆勤手当、通勤手当及び家族手当は含まれません。
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Q 当社では、新型コロナウイルスの蔓延予防のため、テレワークを実施しました。当社ではそれまでテレワークを認めていなかったため、就業規則にもテレワークに関する定めをおいておらず、社員から(1)テレワーク中の労働時間の把握について自己申告制で行わせることは違法ではないかという質問や、(2)テレワーク中の従業員を会社に出勤するよう指示した場合の出勤に要する時間は労働時間なのではないかという質問を受けました。
当社は(1)については違法ではない、(2)については通勤と同じであり労働時間ではないと回答をしましたが、問題はないでしょうか。
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインが制定されています。テレワークの場合にもガイドラインが適用され労基法上労働時間の把握方法について何らの定めがないため、労基法に違反することにはなりません。
(2)は、テレワーク中に呼び出して出勤させる際の移動時間は労働時間かということですが、勤務時間の一部でテレワークを行う場合の就業場所間の移動時間については使用者の指揮命令下におかれている時間であるかどうか個別具体的に労働時間に該当するかを判断し、①使用者が移動することを労働者に命ずることなく、単に労働者自らの都合により就業場所を移動し、その自由が保障されている時間については、休憩時間として取り扱うことが可能であること、②使用者が労働者に対し業務に従事するために必要な就業場所間の移動を命じ、その間の自由利用が保障されていない場合の移動時間は労働時間に該当するとの判断が示されています。この考えを前提とすると、労働時間と判断される可能性はあると考えられます。
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Q 当社のパート社員が仕事中にケガをしました。1か月ほど休む予定です。その社員は、会社の許可を得て所定休日の土曜日にコンビニでアルバイトをしています。いわゆるダブルワーク(兼業)ですが、労災保険給付はどのようになりますか?
①休業した場合等の給付額がすべての勤務先の賃金を基に決まるようになります。
労災保険給付のうち、会社を休んだときに給付される休業(補償)給付などは、働いている会社から 支払われている賃金額を基に保険給付金額が決まります。これまでは、けがや病気などの原因となる 事故や出来事があった会社の賃金額を基に保険給付額が決まっており、複数の会社に雇用されていた としても、それらすべての会社の賃金額を基に労災給付を受けることができませんでした。今回の制度改正で、雇用されているすべての会社の賃金額の合算額を基に保険給付額が決まるようになります。 ②すべての勤務先の負荷(労働時間やストレス等)が総合的に評価され労災認定されるようになります。
今回の事例のケガではなく、脳・心臓疾患や精神障害の場合は、現行制度ではそれぞれの勤務先ごとに負荷(労働時間やストレス等)を個別に評価して労災認定できるかどうかを判断していました。今回の制度改正では、雇用されている会社のうち1つの会社における仕事での負荷(労働時間やストレス等)を個別に評価しても労災認定できない場合は、すべての勤務先の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して労災認定できるかを判断するようになります。
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Q 新型コロナウイルスの感染防止対策で、急遽テレワークを導入しました。在宅勤務をしている従業員から、業務時間中に作業を中断してトイレに行った際、階段を踏み外して足を捻挫したと報告を受けました。これは労災の適用になりますか。
厚生労働省が発表した「テレワーク導入のための労務管理等Q&A集」に「自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した事案。これは、業務行為に付随する行為に起因して災害が発生しており、私的行為によるものとも認められないため、業務災害と認められる。」と記載されています。
テレワーク時の業務災害も、通常の業務災害と同様に、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることが必要です。当然ですが、自宅における私的行為(例えば、休憩時間に洗濯物を干しに行った際に転倒した、ペットと遊んでいて噛まれた等)が原因である場合は業務災害になりません。労災と認定されるには、業務遂行性と業務起因性が必要です。
また、モバイルワークやサテライトオフィス形態では、就業に関し、住居と就業場所の往復等を合理的な経路および方法で行うこと等によって被った傷病等は、通勤災害として認められます。例えば、仕事をするためのカフェやサテライトオフィスへの移動中の事故です。
<テレワーク導入の際の留意点>
テレワーク時の災害が労災の対象となるには、会社の指揮命令による業務時間中であること、業務と因果関係があることが必要です。そのため、万一、災害が起きた場合に、それが私的行為なのか、業務上の行為なのか明瞭でなくてはなりません。テレワークを導入する際は、労働時間の管理方法や、作業場所の特定、業務報告の方法などをあらかじめしっかりと決めておき、対象労働者へ周知しておくことが重要です。
新型コロナウイルス感染予防対策で急増したテレワークにより、日本人の働き方が大きく変わっています。様々なトラブルを想定し、テレワーク規程等を整備し、または見直して、うまく運用していきましょう。
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Q 新型コロナウイルス感染症の影響により、社員を休業とし、休業手当を賃金の80%で支払ってます。7月10日までに年金事務所に申請する算定基礎届で注意する点はありますか?
①7月1日時点で休業が解消している場合、4、5、6月のうち、休業手当を含まない月を対象とします。
②③4、5、6月いずれにも休業手当が支払われてる場合は、休業手当等に基づいて決定(随時改定もあり)または改定される前の標準報酬月額で決定します。
④⑤⑥⑦7月1日時点で休業の状況が解消していない場合は、休業による休業手当等が支払われた月のみで算定するのではなく、通常の給与を受けた月も併せて、報酬月額を算定します。
① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | |
4月 | ● | ● | ● | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
5月 | 〇 | ● | ● | ● | ● | 〇 | 〇 |
6月 | 〇 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
7月 | ☆ | ☆ | ★ | ★ | ★ | ★ | ★ |
8月 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ● | ● | ● |
9月 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ● |
定時決定の 算定対象月 | 5・6月 | 従前等級 で決定 | 4・5・6月 | 4・5・6月 | |||
随時改定月 | 7月改定 | 8月改定 | 9月改定 |
〇:通常の報酬が支給された月
☆:一時帰休解消
●:一時帰休による休業手当等が支給された月
★:一時帰休未解消
(表の出典・日本年金機構HP)
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Q 新型コロナウイルスの影響で売上が前年と比べて50%以上落ち込んでしまった場合に、給付金が受けられると聞きました。どのような給付金でしょうか。
今月から申請の受付が始まりました。主な内容は以下の通りです。
【給付額】 | 法人 200万円 個人事業主 100万円
前期の売上高 -(前年同月比△50%以上となる月の売上×12か月) |
【対象月】 | 2020年1月から2020年12月のうち、ひと月を選択 |
【主な要件】 |
※一度給付を受けると、再度給付申請をすることはできません。 |
【添付書類】 |
|
【申請期間】 | 2020年5月1日~2021年1月15日 |
【申請方法】 | 持続化給付金の申請用HPからの電子申請 (予約制の申請窓口も設置予定) |
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Q 新型コロナウイルス感染症の影響により、仕事量が少なくなり、従業員を休ませることを検討しています。「雇用調整助成金」を申請できますか?
(1)対象となる事業主の拡大 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種) |
(2)生産指標要件の緩和 | 1か月5%以上低下 |
(3)対象者の拡大 | 雇用保険被保険者でない労働者の休業の助成金の対象 |
(4)助成率の引き上げ | 4/5(中小企業) *解雇等を行わない場合は9/10 1人1日あたり8,330円を上限 |
(5)計画届 | 計画届の事後提出を認める(1月24日~6月30日まで) |
(6)支給限度日数 | 1年100日、3年150日+上記対象期間 |
(7)その他 | 上記の拡充にあわせて、短時間一斉休業の要件緩和、残業相殺の停止 |
①事業主が指定した1年間の対象期間について、実際に休業を行う判定基礎期間ごとに計画書を提出。
②事後提出する休業等については、1度にまとめて提出。
③事後提出しない休業等については、初回の計画届を、雇用調整を開始する日の2週間前をめどに、2回目以降については、雇用調整を開始する日の前日までに提出。
◆初回の計画届に必要な書類◆
①休業等実施計画届[休業予定日、規模等を記載。]
②事業活動の状況に関する申出書[事業縮小の状況を記載] 【添付書類】労使協定書・労働者代表確認書類、事業所の状況に関する書類[生産指標(売上高等)のわかる書類][所定労働日、時間や賃金制度等のわかる書類 等]
※労使協定で最低限定める事項 ①休業の実施予定時期・日数 ②休業の時間数
③対象となる労働者の範囲及び人数 ④休業手当額の算定基準
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Q 新型コロナウイルスに社員が罹患した場合、その社員は隔離され、休業することになると思うのですが、その場合の賃金はどうすればよいのでしょうか?
① 新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当の支払いは必要ですか。
新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられ、休業手当を支払う必要はありません。その場合、健康保険の加入者は、傷病手当金が支給されます。
② 社員やその家族が新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合に、会社が社員に休業させたときは、休業手当の支払いは必要ですか。
会社が予防的な措置で休業を命じた場合は、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
③ 発熱などの症状があるため自主的に休んでいる場合は、休業手当の支払いは必要ですか。
社員には感染予防のため自主的に会社を休んでもらったのですが、新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため社員が自主的に休まれる場合は、通常の病欠と同様の取り扱いです。年次有給休暇の残があれば請求して取得してもらってください。
④ 新型コロナウイルスに感染している疑いのある社員について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いは、労働基準法上問題はありませんか。
年次有給休暇は、原則として社員の請求する時季に与えるものなので、会社が一方的に取得させることはできません。年次有給休暇が残っている場合は、賃金全額を受け取ることができるので、よく話し合って、休業手当を受け取るよりも年次有給休暇を取得してもらってもよいと思います。
〇会社と社員が協力して感染を予防し、万一休業する場合も社員が安心できるように、上記以外のケースにもどうするかを考えて準備しておいたほうがよさそうです。
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Q 不払い残業代請求の時効が2年から5年(当面3年)になると聞きました。会社にとってはリスクが増えると思いますが、どうして変わるのでしょうか。書類等の保存期間も変わりますか?
その他労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類の保存期間についても5年間に延長されます。不払い残業代等の請求により、裁判所が会社の不払い残業代の他に同一額の支払を命じることができる付加金についても2年間から5年間に延長されます。ただし、経過措置として、当面の間は3年間となります。
実際に影響があるのは、2020年4月より2年経過した2022年4月以降ですが、不払い残業代請求の機運が高まるのか間違いありませんので、会社としては、改めて労働時間管理を徹底し、不払いが発生しないような体制の構築を進めなければなりません。
なお、年次有給休暇の請求権や災害補償請求権は、2年間のままで変更はありません。
労働政策審議会で検討された事項 | 消滅時効の期間または保存期間 |
賃金請求権・付加金 | 2年間→5年間(当面の間3年間) |
労働関係に関する重要な書類 労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償 賃金等に関する重要な書類 | 2年間→5年間(当面の間3年間) |
年次有給休暇・災害補償 | 2年間(変更なし) |
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Q 当社では現在、在宅勤務制度の導入を検討していますが、在宅勤務の場合の労働時間管理について気をつけるべき点はどのようなことでしょうか。
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Q 来年4月からの「時間外労働の上限規制」を適切に運用するためには、労働時間の管理が基本ですが、移動時間・研修や教育訓練等は、どこまでが労働時間に該当するか教えて下さい。
◎ 労働時間に該当しない例(厚生労働省 リーフレットより抜粋)
|
◎ 労働時間に該当する例(厚生労働省 リーフレットより抜粋)
|
* 研修・教育訓練の不参加が就業規則で懲戒処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったり、事実上参加を強制されている場合は労働時間に該当します。
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Q 社員ががんに罹患し、入院するとの報告がありました。社員の生活の安定を図れるようにするにはどうすればよいでしょうか。
1.がん患者の就労支援の現状
今や日本人の国民病といわれるがん。職場内の誰が罹患しても不思議ではありません。社員ががんに罹患して職場離脱せざるを得ない場合、会社として何をしてあげられるのでしょうか。
平成25年において、がん罹患者のうち20歳~64歳の割合が29.7%で、そのうち、身体が辛くて健康な同僚と同じように働けない、治療のため通院時間を確保しなければならないなど、就労が困難となるためか、34.6%が離職を余儀なくされています(厚生労働省「がん患者のおかれている状況と就労支援について」(平成28年12月8日))。そこで、政府は平成28年2月には、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎などの治療が必要な疾病を抱える労働者に対して、事業場において適切な就業上の措置や治療に対する配慮が行われるよう「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を策定しました。特にがんについては、「がんに関する留意事項」が設けられ、治療と職業生活が両立できるよう、例えば、短時間の治療が定期的の繰り返される場合などに対応するため、時間単位の休暇制度、時差出勤制度等の検討・導入等の環境整備を進めていくこととされました。
2.経済面をどう支えるか
休職中は健康保険の傷病手当金が利用できるでしょう。しかしながら、傷病手当金は1年6ヵ月で支給が終了します。その時点で未だ職場に復帰できない人や復帰できても前と同じように働けない人の経済面を支えるのが、障害年金です。がんによる障害は、以下の3つが対象となります。
ア 悪性新生物そのものによって生じる局所の障害 イ 悪性新生物そのものによる全身の衰弱または機能の障害 ウ 悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身の衰弱または機能の障害 |
つまり、局所の障害以外にもがんの増殖や抗がん剤の副作用による全身の衰弱も対象になるので、カバーされる範囲は広いといえます。障害等級に関しては、一般状態区分といわれるものが判断の基準となります(イまたはウは3級、ウまたはエは2級)(実際にはアとオもあるが割愛)。
イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働ができないが、日中の50%以上は起居しているもの エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの |
以上を参考にして、がんによる障害等級の程度を見極め、年金受給と就労支援のサポートができれば、治療と就労を両立できる可能性が広がるのではないでしょうか。
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Q 10月1日より最低賃金が愛知県は「926円」に上がると聞きました。最低賃金額以上かどうかをどのように確認したら良いでしょうか。また、最低賃金額はどの程度まで上がるのでしょうか。
【最低賃金の計算方法】 (精皆勤手当、家族手当、通勤手当、時間外手当等は、含まれません。) 1.時間給の場合 時間給 ≧ 最低賃金額 (時間額) 2.日給の場合 日給÷1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額 (時間額) 3.月給の場合 月給÷1ヵ月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額 (時間額) |
例えば、次のような場合は最低賃金額には、達していません。年間休日105日、1日8時間とすると、会社の1か月の所定労働時間は、173.33時間(365日-105日=260日。260日×8時間÷12ヵ月=173.33)
基本給 | 160,000 |
皆勤手当 | 10,000 |
家族手当 | 20,000 |
定額残業手当 (20時間相当) | 24,800 |
通勤手当 | 4,200 |
総支給額 | 219,000 |
① 皆勤手当、家族手当、通勤手当は含んで計算しません。
② 定額残業手当は、時間外手当に該当するので、含んで計算しません。
③ 160,000[基本給]÷173.33=923円 < 926円
月給16万円でも最低賃金を下回ります。
※年間休日106日の場合は最低賃金以上
160,000[基本給]÷172.66=926.6円 > 926円
(365日-106日=259日。259日×8時間÷12ヵ月=172.66)
時間給の場合は、わかりやすく確認できますが、月給の場合は最低賃金の算定に含まれない手当がありますので注意が必要です。また、基本給16万円を支払っていても年間休日106日では最低賃金を下回り、106日だと上回ります。毎月21万9千円支払っていても最低賃金額を下回る場合もあります。月給の場合は、最低賃金の算定に含まれない手当に注意して月の所定労働時間でチェックしましょう。
国の方針としては全国加重平均で1,000円を目指しています。東京[1,013円] と神奈川[ 1,011円] は遂に1,000円を超えて、全国加重平均額は901円となりました。あと100円程度は上がると思われます。
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Q 現場ではパワハラか否かの判断が難しく、苦労させられています。今回の通常国会でパワハラ防止のための規制法が成立したと聞きましたが、その法律ではパワハラはどのような基準で判断することになっているのですか?
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Q 顧客先での部下の対応に不備があったため、後日会社で注意と指導をしたところ「パワハラ」だと大騒ぎされました。注意や指導が「パワハラ」にあたりますか。そもそも「パワハラ」とは何ですか?
※1 職場内の優位性 | パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせをさして使われる場合が多いが、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます。 |
※2 業務の適正な範囲 | 業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントには当たりません。例えば、上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指導監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められます。職場のパワーハラスメント対策は、そのような上司の適正な指導を妨げるものではありません。 |
「パワハラ」とは次の行為(例)です。「おまえら、テープ回してないやろな」は②精神的な攻撃です。
行為類型 | 具体例 |
①身体的な攻撃 | 蹴ったり、殴ったり、体に危害を加える。丸めたポスターで頭を叩く。 |
②精神的な攻撃 | 侮辱、暴言、恫喝など精神的な攻撃を加える。同僚の目の前で叱責。他の社員を宛先に含めてメールで罵倒。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る。 |
③人間関係からの切り離し | 仲間外れや無視など個人を疎外する。必要な資料が配布されない、話しかけても無視される状態が続く。 ※先輩社員や専門的な社員も優位性により該当注意 |
④過大な要求 | 遂行不可能な業務を押し付ける。一晩では処理しきれない量の業務を命じる。 |
⑤過小な要求 | 本来の仕事を取り上げる。営業職に草むしりのみなど。 |
⑥個の侵害 | 優位性を利用してプライバシー侵害。携帯電話やロッカーなどの私物を覗き見る。 |
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Q 外国人材の受入れを検討しています。よく話題になるのが「技能実習制度」と「特定技能制度」ですが、これらはどのような部分が異なるのでしょうか?
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Q 今年からパート社員の年次有給休暇の付与についての対応も大変なのに、次は、「パートタイム・有期雇用労働法」の改正により、企業内における正社員とパート社員等の非正規社員の間の不合理な待遇の格差をなくさないといけないと聞きました。どのような内容でしょうか。また、いつから対応しなければならないでしょうか?
1. 不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正社員とパート社員等の非正規社員の間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
例えば、正社員の基本給については、「①能力又は経験に応じて」「②業績又は成果に応じて」「③勤続年数に応じて」支給するとされている場合が多く、その場合①②③に応じた部分について、同一であれば同一の支給が求められ、一定の違いがあった場合には、その相違に応じた支給が求められます。 |
*特に通勤手当は、正社員と同一の支給をしなければならないとガイドラインには示されています。正社員には支給しているが、パート社員等はないという会社は多々あるように感じます。また、家族手当・住宅手当等はガイドラインに示されていませんが、均衡・均等処遇の対象になっています。
2. パート社員等に対する待遇に関する説明義務の強化
パート社員等は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、会社に説明を求めることができるようになります。また、会社は求めがあった場合は説明しなければなりません。
例えば、正社員とパート社員等の賃金決定基準・ルールに違いがあるときは、「将来の役割期待が異なるため」という主観的・抽象的説明では足りません。 賃金の決定基準・ルールの違いについて①職務内容(業務の内容+責任の程度)、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情等を説明する必要があります。 |
*説明ができるように制度の整備や変更についての検討を始めることが必要となってきます。
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Q 初めて外国人労働者の受入れをするにあたり、企業としての生活支援は何をすればよいでしょうか。
1 特定技能1号での生活支援
2019年4月から創設された「特定技能1号」の在留資格の外国人への生活支援については、法務省のHPでガイドラインが出ています。
→「1号特定技能外国人支援に関する運搬要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について」(平成31年3月法務省)
http://www.moj.go.jp/content/001289243.pdf
①事前ガイダンスの提供、②出入国時の送迎、③住居の確保に係る支援、④金融機関・携帯電話・ライフライン等生活に必要な契約の支援、⑤生活オリエンテーションの実施、⑥日本語学習の機会の提供、⑦相談・苦情対応、⑧日本人との交流促進に係る支援、⑨本人の責めによらない事由による特定技能雇用契約解除の場合の転職支援など |
このうち⑤の生活オリエンテーションの実施では、外国人労働者に対して、
金融機関や医療機関の利用方法、交通ルール、交通機関の利用方法、生活ルール・マナー、生活必需品の購入方法、災害情報の入手方法、日本で法令違反行為となるものの例、防犯および緊急時対応に必要な事項、入管法令や労働関係法令など |
に関する情報提供が求められています。
2 支援策の例
● 医療機関の利用
経済産業省の「内なる国際化研究会」報告書(平成28年3月)によると、病院や役所の表示が全部日本語なので、外国人にとっては不便だという意見が挙げられています。
行政情報の多言語化については、自治体での対応は比較的進んでいますが、医療機関情報については未整備のところも多く、企業側での積極的なサポートが必要と思われます。
言葉の問題だけではなく、医療機関で診察を受けると高額な医療費を請求されると思っている外国人もいるため、健康保険の制度などから説明する必要もあります。制度自体は共通のため、外国語で健康保険制度について説明している健康保険組合や市区町村のHPを外国人労働者に案内する方法もあります。
例えば、イスラム教では、成人女性が夫以外の男性に肌を見せることは宗教上許されないため、女性医師を強く希望する患者もいます。よって、このような場合、女性医師を探す等の配慮も必要となります。
そのほか、緊急時のために消防庁のHPから「救急車利用ガイド」の外国語版をダウンロードし外国人労働者に配付しておくとよいでしょう。
→救急お役立ちポータルサイト(総務省消防庁)
https://www.fdma.go.jp/publication/portal/post1.html
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● 4月からの年次有給休暇の年5日以上取得について、さらに皆様から多くの質問をいただきました。厚生労働省のQ&Aを参考に、質問をまとめてみました。
Q 今回の法改正を契機に、法定休日ではない所定休日を労働日に変更し、該当労働日について、会社が年次有給休暇として時季指定(「時季」は法律にある言葉です)することはできますか?(Q&A 3-17)
Q 年次有給休暇の取得を労働者本人が希望せず、会社が時季指定を行っても休むことを拒否した場合には、会社の責任はどこまで問われるのでしょうか?(Q&A 3-21)
Q 派遣労働者については、派遣元・派遣先のどちらで年次有給休暇の時季指定や有給休暇の管理簿の作成を行えばよいでしょうか?(Q&A 3-29)
Q 年次有給管理簿はどのような書式で、どのようなことを記載しなければなりませんか?また、何年間保管しなければなりませんか?
【年次有給管理簿の書式例(書式は問いません)】
年次有給休暇取得日数 | 基準日 | 2019/4/1 | |||
取得日数 | 18日 | ※(付与した日数) | |||
年次有給休暇を 取得した日付 |
4/4(木) | 5/7(火) | 6/3(月) | ||
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Q 外国人労働者が脱退一時金を受給する際の留意点を教えてください。
技能実習1号 1年 | 技能実習2号 2年 | 技能実習3号 3年 |
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● 4月からの年次有給休暇の年5日以上の確実な取得について、読者の皆様の関心が相当高いと思われますので、疑問に思われる点について「よくある質問」としてまとめてみました。
Q パート労働者も対象となりますか?
週の所定労働日数 | 1年間の 所定労働日数 | 勤続年数 | ||||||
6か月 | 1年 6か月 | 2年 6か月 | 3年 6か月 | 4年 6か月 | 5年 6か月 | 6年6か月以上 | ||
5日 | 217日~251日 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
4日 | 169日~216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
3日 | 121日~168日 | 5 | 6 | 6 | 7 | 9 | 10 | 11 |
2日 | 73日~120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
1日 | 48日~ 72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
Q 半日単位で取得した年次有給休暇も「5日取得の日」の対象になりますか?
Q 会社が独自に考えている特別休暇の日も「5日取得の日」の対象になりますか?
Q 今回法改正の時季指定について、就業規則に記載する必要はありますか?
○項 年次有給休暇が10日以上与えられた労働者に対しては、付与日から1年以内に、当該労働者の有する年次有給休暇のうち5日について、会社が労働者の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除するものとする。 |
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Q 労基法の改正で、使用者に年休給付義務が生じるそうですが、①どのような内容なのでしょうか。また、②年休管理簿を作成することが義務付けられるようですが、どのようなものなのでしょうか。また、③年休管理簿を作成しない場合には罰則等はあるのでしょうか。逆に、年休管理簿を作成することによるデメリットはあるのでしょうか。
②各労働者の年休の取得状況を把握するために、時季、日数および基準日を明らかにした書面の作成が求められます。
③罰則はありません。また、年休管理簿を作成することによるデメリットは特にないと考えます。
Q 働き方改革関連法の「労働時間の把握義務」とは、何ですか。今までもあったと思いますが、何が違うのでしょうか?
◆医師による面接指導を行わなければならない人は、次のとおりです。
(1)労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者(申出を受けて実施)
【面接指導を実施する法的義務あり】
(2)長時間の労働(週40時間を超える労働が1月あたり80時間を超えた場合)により疲労の蓄積が認められ又は健康上の不安を有している労働者(申出を受けて実施)
【面接指導又は面接指導に準ずる措置を講じる努力義務あり】
(3)その他事業場(会社)で定める基準に該当する労働者(事業場(会社)の規定により実施)
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Q 昨年、当社は女性労働者の育児休業に伴い、助成金を申請しましたが、男性労働者が育児休業を取得した場合も助成金を申請できるのでしょうか?
1 本助成金の概要と助成金額
男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りの取組みを行い、男性労働者が子の出生後8週間(出生時を含む57日)以内に連続5日以上の育児休業を取得すると、本助成金を受給できます。ただし、育児休業を分割して取得した場合は助成金の支給対象になりません。
(中小企業)
① | 1人目の育休取得 | 57万円(72万円) |
② | 2人目以降の育休取得 | a 育休5日以上 : 14.25万円(18万円) |
b 育休14日以上 : 23.75万円(30万円) | ||
c 育休1ヵ月以上 : 33.25万円(42万円) |
※( )内は生産性要件を満たした場合
①は初めて育休取得したときの金額です。②は2人目以降育休取得したときの金額で1企業当たり1年度10人(支給初年度のみ9人)まで申請できます。すでに育児休業を取得した男性労働者がいる場合でも連続5日以上の育児休業取得でないときは①の助成金額になります。
2 育休取得前に実施する取組み
男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りのため、男性労働者の育児休業開始日の前日までに次のような取組みを行っていることが必要です。
1.男性労働者を対象にした「育児休業制度」の利用を促進するための資料等の作成・周知
2.管理職による、子を出生した男性労働者に対する育児休業取得の勧奨
3.男性労働者の育児休業取得について管理職向けの研修の実施 など
3 助成金申請の3つの注意点
1.育児休業を取得する連続5日間がすべて所定労働日でない場合は法律上の育児休業に該当しないため、助成金の対象になりません。
2.本助成金は育児・介護休業法に基づく育児休業の取得が必要なので、年次有給休暇を取得して育児休業とすることはできません。
3.育児休業規程で育児休業を有給とすることは可能ですが、男性のみを対象とすることはできません。
4 平成30年度の変更点
1.2人目以降の育休取得については、育児休業取得期間に応じて助成金が3種類に増えています。
2.育児目的休暇の導入・利用の新設
「育児目的休暇」助成金は、子の出産前後に育児や配偶者の出産支援のために取得できる休暇制度を新たに会社が導入し、男性労働者が子の出生前6週間または出生後8週間以内に合計して5日以上、所定労働日に休暇を取得すると受給できます。育児目的休暇は会社の休日に取得することはできません。助成金額は、28.5万円(生産性要件36万円)となります。「育児休業」助成金とは、別に申請できます。
申請対応窓口:管轄雇用・環境均等部(室)
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Q 来年4月から年次有給休暇取得の制度が変わるそうですね。概要を教えてください。また今から準備しておくことはありますか。
このため、今般、労働基準法が改正され、2019(平成31)年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、会社が時季を指定して取得させることが必要となりました。 【↓厚生労働省パンフレットより抜粋】
対象は、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者(パートも対象)で、付与日から1年以内の期間に与えなければなりません。もちろん、労働者が5日以上取得されている会社は特に措置をとらなくてもよいですが、1人5日取れていない場合の具体的な方法としては、次の通りです。
①一斉に休むことができる業種(工場など)では、年間カレンダー作成時に決めておく必要があります。また、その場合、計画的付与の協定書を用意しておかないといけません。
②会社で一斉に休むことができない業種(介護、飲食等)は、個人別又は、グループ別に時季を指定して取得すると考えられます。
ちなみに、5日取得できない社員がいた場合、罰金30万円です。(1社または1人かは今のところ不明)
また、年次有給休暇の管理簿も作成し3年間保存となりました。
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Q 当社は雑居ビルに入居しています。先日、従業員が就業時間終了後、同僚らと食事をして帰るため、1階の玄関口で待ち合わせていたところ、1階フロアーの段差で足を踏み外して転倒し、ケガをしてしまいました。この場合①労災請求において業務災害、通勤災害のどちらの対象となりうるのでしょうか。また、②帰宅途中に食事をする予定であったのですが、会社を出てから最寄駅に向かう途中での災害であった場合、労災の判断に影響するのでしょうか。
1 ご質問のケース①
労災保険法7条2項1号の「就業の場所」とは、業務を開始し、または終了する場所をいい、原則として門をもって境界としており、一般的には、事業主の支配管理権が及ぶ会社施設と一致することとなります。雑居ビルの共用部分(玄関、廊下、階段等)は、当該雑居ビル所有者と入居会社の各事業主等が当該共有部分を共同管理しているものと考えるのが妥当であって、ビル1階フロアーは事業主の管理下(就業の場所)であるということになります。以上のような考え方から、ご質問のケースにおける通勤の始・終点は、当該ビルの玄関ドアとなりますので、「住居と就業の場所との間」の災害には該当せず、業務災害として取り扱われることになります。
2 ご質問のケース②
通勤災害とは、労災保険法7条2項および3項で「(第2項)労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」「(第3項)労働者が、前項の往復の経路を逸脱し、又は同項の往復を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項の往復は、通勤としない」とありますが、たとえ帰宅途中に帰路を逸脱して食事をする予定であったとしても、いまだに通常の通勤帰路上にある限りにおいては、労災保険法7条2項の通勤と認められます。
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Q 働き方改革関連法は、いつから影響しますか?すぐに、対策をたてないといけないことはありますか?
施行日 | 主な改正項目 | 法律名 |
2019年4月1日 | 時間外労働の上限規制(大企業) | 労働基準法 |
高度プロフェッショナル労働制の導入 | ||
年次有給休暇の時季指定付与義務 | ||
フレックスタイム制の要件緩和 | ||
産業医、産業保健機能の強化 | 労働安全衛生法 | |
労働時間の把握義務 | ||
勤務時間インターバル制度の普及促進(努力義務) | 労働時間設定改善 特別措置法 |
|
2020年4月1日 | 時間外労働の上限規制(中小企業) | 労働基準法 |
派遣労働者の均等・均衡待遇規定等の整備 | 労働者派遣法 | |
同一労働同一賃金(大企業) | パート労働法 | |
労働契約法 | ||
2021年4月1日 | 同一労働同一賃金(中小企業) | パート労働法 |
労働契約法 | ||
2023年4月1日 | 中小企業に対する割増賃金率の猶予措置の廃止 | 労働基準法 |
2024年4月1日 | 時間外労働の上限規制の猶予措置廃止 (建設業、自動車運転業務、医師等) |
労働基準法 |
働き方改革関連法がついに可決・成立しました。
今回の改正は、長時間労働の是正(時間外労働の上限規制等)や同一労働同一賃金の実現、これまでの仕事や賃金のあり方を一変させる非常に大きなものです。
この労働大転換期をどう乗り切り、自社の「働き方改革」を実現していくかで、今後の企業経営も大きく変わってくるといえましょう。
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Q 入社2カ月の従業員から、妊娠したことを報告されました。それと同時に、つわりがひどくなり、妊娠報告以降はほとんど出勤していません。本人は、育児休業を取得して、育児休業給付の受給を考えているようですが、このまま出勤できない状況が続いた場合でも、育児休業給付の受給は可能なのでしょうか?
1 育児休業給付受給の基本的要件
育児休業給付を受給するためには、育児休業を開始した日から遡って2年間にみなし被保険者期間が12ヵ月以上必要となります。
なお、育児休業を開始した日から遡って2年間にみなし被保険者期間が12ヵ月ない場合であっても、当該期間中の第1子の育児休業や本人に疾病があるなどの場合には、受給要件が緩和されることがあります。
2 みなし被保険者期間が足りない場合
前職における雇用保険の資格喪失後1年以内に、基本手当を受給することなく現在の会社で資格取得した場合は、前職のみなし被保険者期間を合わせて、育児休業開始日から2年間に遡って賃金支払基礎日数をカウントできます。なお、前職のみなし被保険者期間を合わせて受給資格の確認を受ける場合の手続きでは、通常の添付書類の賃金台帳、タイムカードなど育児休業を開始した日およびその日前の賃金の額を証明することができる書類、母子手帳など育児の事実が確認できる書類、個人番号および身元確認に関する書類などの他、前職を退職した際に発行された離職票をハローワークへ提出します。
3 安易な判断はトラブルの元
妊娠による体調不良等で出勤できない従業員に対する解雇や雇止めは、男女雇用機会均等法9条3項、同施行規則2条2項に定める妊娠を契機とした不利益取扱いにあたる可能性があります。
入社間もない妊娠で、かつ体調不良によりほとんど出勤できていないケースであっても、会社としては、安易に育児休業給付は受給できないと判断するのではなく、前職を離職した際の雇用保険の受給状況などを聴取しながら、受給の可否を判断してください。本来受給できるはずだった給付金が受給できなかったとなれば、大きなトラブルに発展する可能性もあり得ますので、注意が必要です。
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Q 外国人技能実習生を受け入れていますが、労働基準監督署から是正勧告を受け入れると引き続き受け入れができないのでしょうか?
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Q 4月1日に入社して、2週間で退職してしまった元社員から、「国民健康保険と国民年金の手続き時に、4月分から保険料を納めてください、と言われました。 給与明細を見ると健康保険料、厚生年金保険料が控除されています。二重に納めることになりませんか」との問合せがありました。どのように対応したらよいでしょうか。
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Q 雇用保険、社会保険(健康保険・厚生年金保険)でのマイナンバーの取扱いがいよいよ本格化するようですが、手続きはどのように変わりますか?
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Q 昨今、長時間労働等による労災等が報道されていることを踏まえ、当社では、社員の残業を原則として認めない運用をしております。その結果、社員から賃金の減収になっているので、副業を認めて欲しいとの要望がなされることが多くなりました。当社の就業規則では副業は原則として禁止しているのですが、社員が所定時間外や休日に副業をしても当社への労務提供に支障がない場合等には副業を例外的に認めています。ただ、副業を認めてしまうと結果的に長時間労働となってしまうのではないかと懸念されるとともに、万が一、副業によって社員の健康が害された場合に当社に責任が生じてしまうのでしょうか?
副業について、行政として、①厚生労働省で示しているモデル就業規則の規定を、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩が 生じる場合等以外は副業・兼業を認める内容に改めること②労働者と企業それぞれの留意点とその対応方法を示すこと③労働者が副業・兼業を実現している好事例を周知していくことが必要であるとの報告を出しています。このような状況からすると、今後、副業を申請してくる社員は増加してくるものと思われます。
<労働時間の通算について>
本業と副業のように事業主が異なる場合に労基法38条1項(「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」)が適用されるかについて、厚生労働省は、事業場を異にする場合には事業主を異にする場合を含むとの解釈を示すとともに、通算された結果、割増賃金を支払わなければならない使用者については「通常は、当該労働者と時間的に後で労働契約を締結した事業主と解すべきであろう。けだし、後で契約を締結した事業主は、契約の締結に当たって、その労働者が他の事業場で労働していることを確認したうえ契約を締結すべきであるからである。」とされています。
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Q 最近、人が不足し採用しましたがスグに辞めてしまいました。なぜでしょうか?やはり、最近の若者は根性や我慢が足りないのでしょうか。今どきの若い子の考えていることがわかりません。
A 今は、求人を出してもなかなか応募もありません、採用までこぎつけるのはかなり大変です。苦労をしてやっと採用したのに辞められてしまってはたまりません。
本音の退職理由ランキングによりますと、第1位は人間関係(43%)、第2位は社風や風土、拘束時間(20%)、第3位は賃金、評価・人事制度(16%)です。第1位の人間関係にショックを受けますね。
スグに辞めてしまう原因の多くは次のいずれかにあてはまります。対策を考えて見ましょう。
1、採用をゴールにし、入社後の教育について考えていない ⇒教育について考えましょう。 2、入社前と入社後にギャップを感じる(求人内容と実際の雇用条件の差がある) ・各種手当があるといわれたのに ・年間休日がでたらめ ・時間外労働が多い→会社への不信感 ⇒会社の「ありのまま」を話して、ミスマッチをなくしましょう。 3、自分の成長が見込めないから辞める(昇進するイメージができない) ⇒社員に成長を期待する人事制度の整備が必要かもしれません。 4.会社との信頼関係がないから辞める(コミュニケーション不足) 信頼関係の構築方法としては、今は「飲みにケーション」では解決できません。お酒が苦手、イベントが苦手、仕事とプライベートと分けて考えたい人が多くいます。 ⇒価値観の多様化 →お酒を交えない信頼関係を構築しましょう。 5.自分は必要とされていないから辞める(入社してもやることがない、丁寧に教えてくれない、ほうっておかれる)⇒教育プログラムを作って、常に気にかけてあげましょう。 |
誰でも「認められたい」欲求があります。①自分自身の「存在」を認めてほしい②自分が行った「行動」を認めて欲しい自分がやった「成果」を認めて欲しい。管理職にある人間は、部下の離職を防ぐためのマネジメントをしっかりやる必要があります。
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Q 昨年、事業場内でインフルエンザが流行しました。どのような対策に取り組んでおけばよかったのでしょうか。
A インフルエンザワクチンの接種は発症率の低下や重症化予防に有効です。しかしながら、ワクチンを接種していても発症することもあります。そのため、健康教育としてのインフルエンザ予防策の周知や、感染拡大予防を目的とした就業措置の検討などをしておくとよいでしょう。
労働契約法5条(労働者の安全への配慮)において「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められています。労働者がインフルエンザを含めた感染症にかからないよう使用者が配慮することは、事業場内での感染拡大防止といった安全配慮にとどまらず、結果として安定した労働力の確保や事業の継続にも繋がっていきます。では、具体的にどのような対策が必要となるでしょうか。
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Q 「同一労働同一賃金」は、「非正規という言葉をなくす」ということで取り組んでいますが、会社として取り組む意義や取り組まなければならない理由はありますか?
A 最近話題の「同一労働同一賃金」をテーマにしてきました。皆様から「正社員とパート社員と同じ処遇にしなければなりませんか」と多くの質問をいただきました。私見ですが、「生産年齢人口(15歳~64歳)が想定を上回るペースで減少」して、「労働力不足」となるから対応しなければならないと考えます。人が採用できないなどの「労働力不足」は、感じられていると思います。「労働力不足」の解消には3つの対応策が考えられます。
①働き手を増やす(労働市場に参加していない女性や高齢者) ②出生率を上げて将来の働き手を増やす ③労働生産性を上げる(機械・ロボットの導入、AIなどを含む) |
「労働力不足」を解消するには、次の事項を問題点として厚生労働省は、取り組んでいます。
①長時間労働者の是正
・長時間労働を拒否すると、有期契約社員やパートとして働くことを余儀なくされる。
・長時間労働を望まれる年齢と、出産・育児年齢が重なるため「出生率」にも影響している。
②正社員と非正規社員の格差是正
・非正規社員の賃金を、正社員に対して6割という現状から、欧米並みの8割まで引き上げる。
・最低賃金の引き上げも、これまでの取り組みを継続し、最低賃金1,000円を目指す。
→出産・育児・介護による女性の働き方の制限をなくす。つまり、ライフステージにあわせた働き方(多様な働き方)を選べるようにし、働きやすい社会の実現を目指す。
③高齢者の就労促進
・高齢者の約7割が「65歳を超えても働きたい」と考えているが実際は2割ほどにとどまる。
つまり、最近の厚生労働省の施策は、将来のさらなる労働力不足への対応です。即座に対応することは難しい課題ですが、「社員の定着促進」「採用」については、避けては通ることはできません。
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Q 当社では優秀な人材が流出してしまうことを防ぐために、現状、有期雇用契約で雇用している従業員を正社員にして雇用条件をよくしていこうと考えております。何か利用できる助成金はありますか?
A キャリアアップ助成金の正社員化コースが対象になる可能性があります。
有期契約労働者等を就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づいて正規雇用労働者に転換、または派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合に助成されます。
下記(①~⑦)のすべてに該当する労働者が対象となります。
|
※有期契約労働者を無期雇用労働者に転換した場合は転換前の基本給より5%以上上昇させる必要があります。
受給額
中小企業の場合の受給額 | 大企業の場合の受給額 | |
① 有期⇒正規 | 57万円(72万円) | 42万7500円(54万円) |
② 有期⇒無期 | 28万5千円(36万円) | 21万3750円(27万円) |
③ 無期⇒正規 | 28万5千円(36万円) | 21万3750円(27万円) |
※( )内は生産性の向上がみられる場合の受給額
手続きの流れ
①キャリアップ計画の提出 ②6カ月以上雇用された有期契約労働者等を転換または直接雇用 ③転換または直接雇用した労働者に対して正規雇用労働者、無期雇用労働者としての賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月以内に支給申請 |
※転換または直接雇用日までに正社員への転換制度を就業規則等に規定する必要があります。
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Q 先月、東京地裁では、日本郵便の契約社員が正社員と同じ仕事をしているのに、住居手当や有休の病気休暇がないことなどは、「不合理な労働条件の相違に当たる」と判断しました。「同一労働同一賃金」ガイドライン案によると、支払わないといけなくなるでしょうか。賞与も、でしょうか?
A 「同一労働同一賃金」ガイドライン案に住居手当については記載しておりません。しかし、判決内容では、「職責内容などの違い、差異つけるのは不合理」としており、ガイドライン案に同じように記載されている手当は、次の通りです。
と、手当については、同一の要件に該当する場合は同一支給が求められると思います。
また、賞与は、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合として記載してあります。
賞与について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の貢献である有期雇用者又はパートタイム労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、貢献に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。 |
上記のように記載してあり、パートタイム労働者にも手当と同様に支給が求められています。
<問題となる例>として、次の事例があげてあります。
D社においては、無期雇用フルタイム労働者には職務内容貢献等に関わらず全員に賞与を支給しているが、有期雇用労労働者またはパートタイム労働者には支給していない。 |
非正規の公務員にも賞与が支払われるようになり、今後の大きな課題です。
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Q パートタイム労働法でいう「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」とは、どのようなパートタイマーをいうのでしょうか?
A 「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」とは、職務の内容と人材活用の仕組みや運用が、当該事業場の通常の労働者と同一であるパートタイマーをいいます。同一性の判断については手順があるので、それにのっとり判断します。
①職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一であること。 ②人材活用の仕組みや運用等が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一であること。 |
以下、これらの2要件の判断方法を見てみましょう。
(1)「職務内容が同一」とは
「職務の内容」とは、「業務の内容および当該業務に伴う責任の程度」をいいます。
そして、職務の内容(「業務内容」+「責任の程度」)が「同一」であるとは、業務の内容が「実質的に同一」であって、責任の程度が「著しく異なっていない」ことをいいます。
職務内容の同一性の具体的な判断の手順は以下の通りです。
①業務の種類が同一かを判断する。 ②中核的業務が実質的に同一かを判断する。 ③業務に伴う責任の程度が著しく異ならないかを判断する。 |
①②を経て、③で責任の程度が著しく異ならないと判断された場合には、当該パートタイム労働者は、通常の労働者と職務内容が同一の短時間労働者に該当し、さらに、次に述べる人材活用の仕組みや運用等が同一との要件を満たしてはじめて、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」に該当することになります。
(2)「人材活用の仕組みや運用等が同一」とは
人材活用の仕組み・運用が同一とは、職務の内容および配置が通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲内で変更されると見込まれることをいいます。
この具体的な判断の手順は以下の通りです。
①転勤の有無を比較する。 ②転勤の範囲を比較する。 ③職務の内容の変更と配置の変更の有無を比較する。 ④職務の内容の変更と配置の変更の範囲を比較する。 |
これらの比較により、転勤の有無と範囲、さらに職務内容の変更と配置の変更の有無と範囲がともに同じと判断される場合が、「人材活用の仕組みや運用等が同一」との要件を満たすことになります。
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Q 現在パート労働者には、通勤手当を支払っていません。「同一労働同一賃金」ガイドライン案によると、支払わないといけなくなるでしょうか?
A 「同一労働同一賃金」ガイドライン案に通勤手当については次のように記載してあります。
有期労働契約者又はパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者(いわゆる正社員)と同一の支給をしなければならない。 |
つまり、通勤手当については、同じ働き方をしているならば、同一の支給をしなければならなくなります。また、所定労働日数が違う場合については、月額の定期代でなくても1日単価で支給することについては問題とならない例として記載されています。
<問題とならない例> ・B社においては、所定労働日数が多い(週4日以上)無期雇用フルタイム労働者、有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、月額の定期代を支給するが、所定労働日数が少ない(週3日以下)又は出勤日数が変動する有期雇用労働者又はパートタイム労働者には日額の交通費を支給している。 |
その他、「業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当」「交替制勤務など勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当」「精皆勤手当」「時間外労働手当」「深夜・休日労働手当」「勤務時間内に食事時間が挟まれている労働者に対する食費の負担補助としての食事手当」「出張旅費」「地域手当」は、同じ働き方をしているならば、同一の支給をしなければなりません。
正社員に支払っている給与で、基本給を高くすると、賞与が高くなってしまうからなどの理由で、支給基準がはっきりとしていない、「職務手当」「勤務手当」「特別手当」などの手当てがある会社があります。パートタイム労働者にも支払いますか?今のうちに手当の交通整理をしておいたほうがよさそうです。
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